こんにちは、DTM音楽研究家のイボGです。
DTMの環境を整えて、いざ音楽を作り始めてみたけど、なかなか形にならない。
なんてことってありませんか?
楽曲作りって具体的に何をしたらいいのよ?
メロディーは浮かんだけど、なかなか楽曲が完成しない
私もそうでしたが、初めから形にできる人はいません。
以下のような試行錯誤を繰り返して、ようやく自分なりの型ができあがっていきます。
<試行錯誤を繰り返す>
●足りない所を考える
●ノウハウを学ぶ
●実際に曲の中で使ってみる
●プロの作品と比べて分析する
当サイトでは付け焼刃でもいいから簡単に曲を作りたいという方にも向けた記事をいくつか書いていますが、やはり基本的な王道のプロセスを押さえておきましょう。
そこそこ長い道のりにはなってしまいますが、一緒に「曲作り」の工程を考えてみましょう。
まずは「考え方やマインドの持ち方」といったところに力点を置いて、私なりに解説していきます。
作詞・作曲・編曲の概要
ここでは一旦歌モノの楽曲を作ることが前提としますが、音楽を作るうえで、大切な作業が以下の3つです。
- 作詞:伝えたい内容を歌詞として言葉にすること
- 作曲:歌などの主旋律メロディーを作ること
- 編曲:コードアレンジや楽器演奏をつけること
特に、馴染みが無いのが「編曲」でイメージ湧かないですよね。経験的にやったことが無いのが「編曲」だからなんです。
そう、逆に実は誰しも「作詞」と「作曲」はやったことがあるはずなんです。
ではまずは、作詞についてですが、次のような経験はありませんか?
例えば…、授業中になんだか思いつきで痛々しいポエムを作ってしまった。
「愛しい君を自転車の後ろに乗せてさ~ LaLaLa~♪ 僕は走る~」
(ちなみに、これ友人の実話です)
まぁ、ちょっと例え話がちょっと恥ずかしくて笑われるやつなので、認めづらいですが、似たようなことは誰しもあると思います。
これって作詞と同じことをやっているんですよね。誰しも「言葉を思いつく」、「並べる」というのなんとなく経験あるので、「作詞」は比較的取り掛かりやすいと思います。当然コツはありますが。
作曲はどうでしょうか?これも実感していないだけで皆さん確かに経験あると思います。
・思い付きで、いつの間にか鼻歌を歌っていた
こんなことありませんか?思い当たらない人でも、子供の頃はしていたと思います。
さて、では編曲はどうでしょうか?
・好きな曲にどんなコード(和音)が似合うかやってみた
・メロディーを思いついたので、ピアノのフレーズを考えてみた
こんな日常経験なんて無いですよね。
そうなんです、編曲は日常生活・学生生活送る中で、誰しもが通る道ではないのです。
やはり楽器をやっている人か音楽やっている人でないと、そもそもやろうとしないんですよね。
まあ、曲に合わせてリズムを取る、ボイスパーカッションみたいな音を出す。みたいなことはあるかもしれません。(リズム作りも立派な編曲作業ですので)
ここが編曲のハードルが高い理由で、馴染みや経験が他の2つに比べて圧倒的に足りないのです。
ちょっとイメージを変えてみましょう
私は結構料理をするのですが、ふと料理中に「楽曲制作の過程って料理に似てるな」と思いました。
すると途端に楽曲制作が何だか身近に感じられました。
編曲に対する理解を進めるうえで、私の考えに少しだけお付き合いいただけませんか。
唐突ですがラーメンに例えてみましょう!
作詞は「伝えたいメッセージ」なので、『メニューの宣伝文句』!「定番の逸品、あっさり美味しい」的なやつですね
作曲は「楽曲の主役」という意味で、ここは『麺』になるかと。
編曲は「主役の麺を引き立てる」という意味ではスープや具材になるかと思います。
あれ?
ということは…、「編曲」って凄く大切じゃありませんか?
同じ袋麺でもそのまま麺とスープだけで食べる友人もいましたが、チンゲン菜とかもやしとかニンジン、お肉とかトッピングすると別物ぐらい美味しいですよね。逆に台無しにする人もいますが…。
ちなみに「作詞」はというと、宣伝文句なので…
濃厚な辛味噌が刺激的で食欲を誘う肉野菜炒めよ~♪
家の料理だと、基本的に作り手のそんな思いよりも「お腹を満たせること」と「美味しいこと」の方が重視されます。
(もちろん、感謝はしてくださいね)
そういう意味だとちょっと重要度が落ちるような気がします。残酷ですが、現実はそんなもんです。
もちろん大切なのは分かりますが、いくら言いたいことや綺麗ごとを並べても、形になっていなければ聞いてもらえない(食べてもらえない)ので、聞いてもらえる曲を作りたければ、まずは作曲・編曲スキルに重きを置いて磨くことが重視されるのではないでしょうか。
他にもプレゼントを渡すときに中身は良かったのに、包装や渡し方で失敗してしまったり、人は中身よりも見た目で判断されてしまうことがあるなど、外側(装飾)の大切さを経験したことはないでしょうか。
中身である作詞者と作曲者がよく表沙汰になりますが、装飾という編曲の大切さ。編曲者も重要な働きをしていることだけ、ご理解いただければ幸いです。
作詞・作曲の考え方
さて、作詞と作曲。具体的には、どういう言葉やどういうメロディーを並べていくか、という作業になりますが、制作者の意図と意思が最も詰まっている部分だと思います。
鮮度が大切というのも料理と共通するところで、流行の言葉やフレーズにも賞味期限がある気がします。
そしてその力を発揮するには、日頃からアンテナの感度を良好にしておいて「感性」を磨くことが大切だと思います。
作詞・作曲でよくある壁をQ&A形式にまとめてみましたので、参考にしてください。
- 作詞と作曲に時間をかけているが、なかなか生まれてこない。どうしたらよいか。
-
自分もしばしば直面するのですが、その場合は「自分に伝えたい何かがない」と思っています。
私の場合の例ですが、自分の中に強い気持ちがない場合は、なかなか自分で納得できる曲ができないことが多いのです。逆に映画やドラマ、外出した後などの気持ちが高まっている時は、別の刺激から楽曲の種となる部分が浮かびやすいです。
なんとなくシンセサイザーを触っていたり、リズムパターンからインスパイアされて楽曲が出来上がる事も多いですが、例えトラックやサウンドが良くても、全部自分の中から生まれてきたモノとは違って言葉とセットになった一体感(感動・心を動かす力)に欠けている気がします。
ちなみに私の経験上、一番綺麗な曲ができたのは、大学院を中退する必要が出て半分心が病んでいた時です。
大きな出来事と強く抱いた負の感情・精神状態の時にそれでも希望を見るという願いが生んだ曲ですが、いまだにその曲を乗り越えられない自分がいます。著名な芸術作品もやはりだと思いますが、強い情動は作品を生み出すきっかけになるのだと思います。 - ワンフレーズはとりあえずできたけど、その続きができない。どうしたらよいか。
-
これも頻繁に出くわします。この場合は、自分の場合リセットするか一旦保存はするものの、そのまま塩漬けとすることが多いです。
商業作家である方や目指している方はこの状況でも正面から向き合って、自力で解決方法を探さないといけないと思いますが、趣味で音楽をやる分においては、長い時間を使って作り続けることも可能です。手が進むときだけ創作活動を続けて、できた作品。私は素敵だと思います。
ちなみに、ジブリ映画の楽曲・BGMでもおなじみの名作曲家、久石譲さんの場合も煮詰まることがよくあるそうなのですが、この場合はスタートが間違っていると思い、積み上げたものを一度壊して、初めから組直すそうです。
- 作曲と編曲。どちらから先に進めるべきか。
-
これについては製作者の得手不得手もありますが、単純に個人の大事にしたいものを優先するべきだと思っています。
傾向としては、プロのコンペ等では、曲先が圧倒的多数を占めているようですね。セールスでやっている以上、パッと聞いたときに耳に残るかそうでないかが勝負の世界ですから、サウンド等に瞬間的なインパクトがある程度求められるのですね。恋愛も見た目の印象から始まって性格・相性は割と後から…なんてことがありますよね?(もちろん性格も大事ですが)
ですが、槇原敬之さんですとか、伝えたいことを重点に置いた作詞優先の作曲家もたくさんおりますので、もちろんそこは個人の感性を大切にしたほうが良いと思っています。
私自身は言葉で伝えることが苦手なほうなので、歌詞から作ったことはほぼありません。挑戦もしましたが、確実に煮詰まることが分かりました。そうしたことを知っておく価値はあると思います。
編曲の考え方
編曲というのは、商業音楽もそうだと思いますが、私自身かなり重きを置いており、そして研究中の身です。
どんなに素材が良くても味付けが失敗したら、全てが台無し。楽曲制作において結構なウェイトを占めていると思います。
せっかく良いメロディーができたと思っても、アレンジをしたり伴奏を付けたら台無しになるっていう経験はかなりあります。自分が最初にDTMを行った時もほとんどがこんな経験ばかりで、毎回ガッカリしてはどうにかならないかとあがいていました。
この時自分の楽曲がダメだと思う要因はたくさんあるのですが、主に次の内容でしょうか。
- 純粋に楽譜面(コード・ボイシング)でダメ。ピアノだけで弾いた時のコード進行がイマイチ。
- コードはなんとなく決まっているけど、楽器の伴奏が微妙。
- 楽器の伴奏はこれでいいはずなのに、上手く馴染んでいない。かっこ良くない。
1の時
単純にコード進行が良くないのであれば、楽曲の流れに合わせて盛り上がるように付け直すしかないのですが、楽曲製作に慣れていないうちはそのこと自体に気が付いていないことが多いです。何がいけないのかが分からない状態。
この場合は、ある程度編曲の勉強をすることをお勧めします。別の記事でもご説明いたしますが、コード進行を変えるだけで凄く印象が変わる事を実践し、なおかつ肉声で解説してくれるDVDが付いた書籍があります。
自分もこの書籍に出会った時はコロンブスの卵状態で、ずっとループ再生しながら聞いていました。
また、リットーミュージックの書籍(キーボードマガジン)などでボーカル素材に伴奏を付けてどんな楽曲に仕上げられるかというアレンジコンテストの企画を実施しており、そういうものを聞いてみるのも勉強になると思います。一般から公募しているので本当に種々の編曲があり、自分の中に無いエッセンスがあったりすると非常に面白いです。
コード進行については、定番とされている進行を踏みつつどこまで裏切れるかというのが一種のセオリーな気がしています。王道の通常道だけではやっぱりつまらなくて、実は少し外した進行とかが大切なキーとなっているような…。
ただ、楽曲製作を始めた頃って、その外し方もどうやってやればいいのか全然わからないんですよね。感覚で偶然できることもあって後々解析したら、こんな定番の進行だったんだっていうこともありますし、一度は勉強してみる
のが良いと思います。自分もまだまだ勉強中です。
2の時
コードはいいんだけど、伴奏が微妙な時。リズム・ベース・上モノ・白玉などが同じベクトルで統一されているでしょうか?それぞれの動きがバラバラだと演奏に迫力が出ないですし、狙っている効果が出にくくなってしまうことがあります。フレーズを一杯入れたい気持ちもありますが、他のパートとコール&レスポンスのような調和した関係を築くことも大切です。
あとは、サウンド、エンジニアリングの面も関係してくるので、注意が必要です。フレーズはあっているけど、サウンドにパンチが足りないだけなのか、フレーズ自身が良くないのか見極めが結構難しい瞬間もあります。音色や楽器を変えてみたら意外とそのままのフレーズでも良かったということもありますので、時には思い切って色々と変えてみることも必要だと思います。
3の時
フレーズはいいんだけど、何か物足りない…。ギターだけはみ出てて、馴染んでいない。音量がバラバラ。スカスカ。こうした時にはミックス・マスタリングの工程で何とかできる領域になっていることが多いです。
信頼できるプロに調整を頼んであっさり解決するという場面がありました。
サウンド単体をもっと際立たせたい場合に、イコライジングで周波数帯域をいじったり、コンプレッサーで揃えたり。ディレイやリバーブで空間を埋めてみたり。ステレオイメージャで空間を広げたり音の周波数的配置・定位を変えると全然聞こえ方が変わってくることもあります。この場合は色々な選択肢がありますが、試行錯誤しながら全体を調整することで、しっかりまとまりが出てくることがあります。