クールなライブSE(オープニング入場曲)の楽曲制作方法を解説

DTM音楽研究家のイボGです。

ライブのオープニング演出など形から入るのが大好きだったので、アマチュアバンドをしていた頃は、そういう飛び道具的なものばかりを夢中で作り、中身の無いバンド活動をしていました(笑)

ですが、逆に外側の見せ方や効果的な観客のひきつけ方を身につければ、もっともっと伸びしろがあるなぁ!!というバンドも多く見てきました。その1つが登場シーンにおけるSE(BGM)の活用です。

特に、ホームでないライブハウスで初めての観客が多い時こそ有効で、SEは自分達のカラーを出しつつ、お客さんとの間にある壁を取り払ってくれるような感覚があります。

ぜひ、まだ検討していないという方は、自分達の個性にあったSEを活用して、より魅力的なパフォーマンスを展開していただけたらと思います。

今回は、登場シーンの中でもクールな楽曲を作るところに焦点を当てて、実際に楽曲を作っての解説をしていきます。自分で楽曲を作るという方は参考にしていただけると幸いです。

(今回作成した楽曲は自由に活用いただける、無料素材集のコーナーでも配布しています)

目次

クールな入場曲を作る際のポイント

早速ですが、クールなSEでのポイントを解説していきます。この手の楽曲はある程度型さえ踏襲できていれば、フレーズは割と自由に創作できて色々と応用できると思います。

ポイント
  • 音数を少なくして余韻(リバーブによる残響音)を豊かにする
  • キックとクラップなどの硬い音で基本ビートを作る(ロングリバーブをかける)
  • コンガなどでサブリズムを当てて、高揚感を出す
  • 音の隙間にシンセのアルペジオ
  • 基本メロディーはピアノで作る

そして、今回実際に作った楽曲がこちらです。

「クール」にも様々なバリエーションがあるかと思いますが、今回は「孤独感」のようなものをテーマに据えてみました。EDMなどの楽曲は別の機会にしたいと思います。

それでは楽曲の構成について解説していきます。

楽曲の構成

全体の構成概要

尺の長さは、一般的なライブハウスで対バン方式だと30分程度の持ち時間になると思いますので、1分前後が目安になると思いますので、今回は82秒程度ありますが、メンバーが許してくれれば許容範囲かと思います。

今回の楽曲の主なトラック構成

ロングリバーブ

さて、基本的に音数を少なくするため、長めのリバーブタイムを確保しますが、余韻が複雑でリッチでも濁りがちのため、単純な響きのアルゴリズムリバーブなどがオススメです。特にロングリバーブで推しているのが、無料で手に入る「epicVerb」というVSTプラグインです。

ロングリバーブにおすすめの無料VST

無料VSTのepicVerb

また、リバーブに原音と譲り合いをするための「サイドチェインコンプ」を入れてあげることで、原音とリバーブ音が重なって音が曇ることを防ぐというテクニックを使用しました。

今回の曲はリバーブタイムが長くて音が混ざりやすいことと、音数が少なくてごまかしも利かないので、深めのゲインリダクションを確保しました(-6dB程度)。実際には音を聞きながらですが、通常は-3dB~-6dB程度が基本になるかと思います。

サイドチェインコンプ目的で使用

なお、画像では解除し忘れていますが、「オートメイクアップゲイン」(リダクションされた分だけ持ち上げる機能)をオフにするのもお忘れなく!せっかく音量下げたのにその分持ち上がってしまい、むしろトータルで音量が大きくなります。

リバーブ音に再度チェインコンプ(原音)をかけてあげることで、お互いに邪魔にならないように設定。

自分なりに解説すると、以下のようなイメージです。

「Keinoaza(けいのあざ)」さんという方のYoutube動画(MIX講座)が非常に分かりやすく、何度か出てきますので、もしピンと来ていない場合は是非そちらをご参照いただけると良いかと思います。

ピアノ

リバーブの設定がうまくできれば、ピアノを単音または2音程度鳴らすだけでも荘厳な感じの雰囲気を出すことができ、ほぼ無双状態となれます。

コード弾きに使用したピアノ

個人的にあまりIvoryIIを使用することは無いのですが、今回は密度の濃い硬い音が欲しかったので探しているうちにこちらのピアノ音源になりました。

IvoryII American Concert

メロディー部分のピアノ

メロディーはAddictive Keysを使用しています。余韻が手に余る程リッチでコントロールには苦労しますが、気に入っている音源のひとつです。

Addictive Keys

マルチバンドコンプでピアノ同士の干渉を回避

こちらも、「リバーブにサイドチェインコンプ」の発想に近いですが、「メロディピアノ>コードピアノ」という関係性を重視し、メロディーが鳴っている瞬間だけコードのピアノに圧縮がかかるよう設定をしています。

Fabfilter Pro-MB

ドラム類

少しlo-fiなリズムサウンドならこれ

ドラム類は膨大なサンプリングライブラリから探すのも時間がかかるので、時短で探すために既にキーボードの鍵盤に割り当てられている「STYRUS RMX」を読み込んで、キック、クラップ、スナップ(指パッチン)などの音を探しました。

キックなどの個別トラックに

今回の楽曲は余韻が豊富に含まれている楽曲ばかりのため、バストラックに挿しているリバーブだけでは足りなかったので、各ドラムには、直接リバーブのVSTプラグインをインサートしています。

Waves TrueVerb

その他

いきなり音楽が始まるとびっくりするので、冒頭に効果音を入れるようにしていますが、今回チョイスした変な音は、逆再生した木の打鍵楽器のような音で、映画音楽などでも定番の「Omnisphere」の中から発見しました。

ホラーサウンドなどの奇妙な音

DAW付属のシンセでアルペジオ

Massiveのようなスパイシーなサウンドが特徴なCakewalkが誇る攻めのシンセで結構な頻度で愛用しています。

DAW(SONAR X1)に付いているシンセ

ベロシティにフィルタコントロール(音の明るさを調整)が連動しているので、ベロシティを以下のような階段状にしてあげました。

ベロシティの調整

モニタリングツール

最近は、全体のレベル感や周波数分布などをモニタリングするツールとして、T-Racks5 のMeteringを使用しています。

今回は、聴感上の音量(RMS)で-13dB程度になるように調整しています。
(Soundcloudにアップロードしたものは、マルチバンドコンプで少し音圧を稼いでいます)

T-Racks5 Metering

最後に

ライブのSEにこだわってみると、見てくれているお客さん達を引き付けて距離感を縮めることができると思います。そのうえでパフォーマンスを披露すれば、自分たちのカラーを演出しやすくなるので、是非こだわって欲しいポイントです。様々なアーティストのライブなどを見て研究し、オリジナリティの高い素敵な演出ができることを願っています。

今回作成した音源は以下からダウンロード・無料使用が可能です。

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