はじめまして。DTM音楽研究家のイボGです。
DTMによる楽曲制作で頻繁に使用するエフェクトと言えば、EQ(イコライザー)とコンプレッサー。
これらは全てのトラックに挿入すると言える程多用しますが、コンプレッサーは重要なエフェクトである一方、EQほど効果が分かりやすくないので、苦手意識を持っている方が多いのではないでしょうか。
今回の相談ごと
最近、コンプレッサーは電子回路の方式に応じて呼び名が違うことを知りました。
どんな種類があって、それぞれどんな特徴や違いがあるのか教えて下さい。
これは難しそう!
コンプレッサーはエフェクトの中でもかなり難しい部類です。
アナログ機種を再現しているンプレッサーは、電子回路の種類によって音や特徴がかなり違いますので、簡単に性質を理解しておきましょう。
この記事でわかること
- コンプレッサーの種類と音の性質の違い
- コンプレッサーの機種名と種類の関係性
- 各コンプレッサーに適した使い方
- 各コンプレッサーのおすすめの使い方
もしコンプレッサーの基本から復習したい場合は、次のページも見てくださいね。
コンプレッサーの種類
コンプレッサーは次の種類に大別することができます。
- VCAタイプ
- FETタイプ
- 真空管タイプ
- Optoタイプ(光学式)
- ディジタル
コンプレッサーは種類が豊富
用途にあったタイプを選択しよう
それでは、順番に特徴を学習していきましょう。
VCAタイプ
VCAタイプはVoltage Controlled Amplifierの頭文字を取ったもので「電圧制御アンプ」方式とも呼ばれます。
仕組み 音量を電圧で制御する方式のコンプレッサーで、アナログ・コンソールのオートメーション、シンセのVCAセクションに同様の仕組みが取り入れられています。音声信号から取り出した電圧によって、フェーダー操作のように音量を制御しています。
楽器と楽器をくっつける魔法の接着剤と呼ばれることもあり、バスコンプとしての活躍が秀逸です。
代表的な機種
- [VST] Waves / API2500
- [VST] SSL G-Master Buss Compressor
- dbx 160
- レスポンスが早いことが特徴
- バストラックやマスタートラックにも多用される(GRは-1dB〜-2dB)
- クリーンで自然に効いてくれて音が破綻しにくい
- リズム、パーカッションなどのアタックが強い音に向いている
- パンチを追加でき、汎用的に利用することも可能
FETタイプ
続いては、FETタイプのコンプレッサーです。代表製品として、TELETRONIX/UREI(現UNIVERSAL AUDIO)の1176があり、各メーカーからはこの名機を模範に再現したVSTプラグインがリリースされています
仕組み FETトランジスタにより、これまでの機種と比べるとアタックタイムやリリースタイムを早く設定することができ、柔軟な設定が可能となっています。
1176の製品では、アタックタイム、リリースタイム共に、ノブを一番右側に回し切った状態が最速設定となるので注意が必要です。
代表的な機種
- Universal Audio(Urei) / 1176、1178
- SPECTRA SONICS 610
- PURPLE AUDIO MC77
- [VST]Slate Digital / FG-116
- [VST]Waves / CLA-76
- アタックタイムやリリースタイムを非常に高速に設定できる
- 様々な音源に使用することができる柔軟なタイプ
- ソリッドでエッジの効いたサウンドにできる(GRは-3dB〜-6dB)
- ドラム・パーカッションにも向いている
真空管タイプ
続いて、真空管タイプのコンプレッサーを紹介していきます。
仕組み Variable MU管と呼ばれる真空管をリダクション回路に使用しているため、「MU」という名称を冠したタイプのVSTプラグインを多く見かけます。
代表的な機種
- Fairchild 670 Tube Limiter
- EMI RS124
- Antelope Audio / RCA BA6A
- GATES Sta-Level
- MANLEY Variable MU Limiter/Compressor
- [VST] SLATE DIGITAL / FG-MU
- [VST] Pulsar Audio / Mu
- 倍音(温かみ・味)を付加してサウンドに変化をもたらす
- 通すだけでキャラクターが変化するため積極的な音作りに最適
- 元来からマスタリングやバスコンプに使用されておりそのような用途は得意
- アタックタイムは遅い
光学式タイプ
続いて、オプト(Opto)コンプです。光信号を利用しているため、光学式とも呼ばれます。
仕組み 音声信号をLEDなどで光信号に変換し、フォトセルといった受光センサで光を検知した際に稼働するといった仕組みとなっています。このように、一旦光信号に変換されることによって、効きが柔らかく・滑らかになるという点が特徴のコンプレッサーです。
代表的な機種
- Teletronix LA-2A
- UREI LA-3A、LA-4A
- SUMMIT AUDIO TLA-100A
- 素早いアタックに追従できない(ドラムなどには向いていない)
- かかり方は自然であまり音質を変えずに音量感を整えてくれる
- 深くかけない方が良い(GRが -3dB程度になるように設定)
ディジタル方式
最後はディジタル方式のコンプレッサーとなります。
仕組み ディジタル方式のコンプレッサーでは、物理現象の制約を受けることがなく自由な制御ができることが特徴です。例えば、オーディオデータの先読みによって、アタックタイムをほぼゼロにすることができました。これによって、マキシマイザーとして音圧をガンガン上げていくような使い方もできるようになりました。また、周波数処理も自由なディジタル方式の恩恵を受けて普及したのが、マルチバンドコンプレッサー。
アナログでは再現できない不自然な処理も、ディジタルでは無理・極端な設定も可能となります。しかし、これは諸刃の剣となっており、ディジタル臭い味気のない音楽に結びついてしまうことから、VSTプラグインの世界でもアナログ機種を再現したプラグインが徐々に注目されるようになってきました。
まとめ
今回はコンプレッサーの種類について学んでいきました。
自分が使用しているVSTプラグインがどの種類に属しているかを知るだけで、どのような使い方が向いているかを知ることができ、一歩も二歩もステップアップすることができます。
逆に、今までコンプレッサーの種類を意識していなかったという方は、是非これを機会に自分が使用しているVSTプラグインのコンプレッサーがどのようなタイプかを理解しておきましょう。
なお、VSTプラグインの名称は、代表的なハードウェア機器の名前に近い名称が付けられていることが多いので、名機の名称を少し知っておくことで、種類をなんとなく予想することができます。
ポイント いろいろな種類のコンプレッサーを持っておくとサウンドの幅が広がる
今回のおさらい
- コンプレッサーには機種の回路によって種類・特徴が分けられる
- 主に「VCA」「FET」「真空管」「オプト(光学)」などの種類がある
- 種類によって得意・不得意があり、楽器によって使い分けが必要となる
- コンプレッサーは難しい
コンプレッサーの種類をなんとなくで良いので押さえましょう。
随時更新します!
参考になる記事など
もっとコンプレッサーの種類について学びたい人は、是非以下のサイトやYoutube(Sleap Freaksさん)で動画を見てみてね!
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