📝 概要

イギリス・エセックス出身のエレクトロニック・バンド。Liam Howlettを中心に、レイヴカルチャーとパンクの融合で1990年代のダンスミュージックを革命的に変えた。2019年にKeith Flintが逝去。

お気に入りの曲

No.1

Firestarter

1996年UKシングルチャート1位を獲得した社会現象的ヒット。Liam HowlettはArt of Noiseの楽曲からブレイクビーツをサンプリングし、テープ速度を上げてピッチを変え攻撃性を高めた。ドラムパターンはループをダイレクトサンプラー(Akai S-series)で重ねた後に全体をビットクラッシャー的な歪みを与えており、デジタルサチュレーションによるクリッピングがあの「汚い」ビート感を作っている。Keith Flintのボーカルはリングモジュレーターとハードディストーションで加工されており、生声から始まりエフェクトが徐々に増す設計。DTMでのビッグビート制作においてブレイクビーツへの意図的歪み処理とボーカルの段階的エフェクト追加の参考になる。

No.2

Smack My Bitch Up

1997年『The Fat of the Land』収録でロールアウトされた攻撃的なビッグビートナンバー。「Smack My Bitch Up」はほぼ全編が連続的なフィルタースイープで構成されており、Liam HowlettがRoland TB-303のカットオフをリアルタイムで操作したアナログ感のあるフィルター変化が楽曲全体のドライブ力になっている。303のレゾナンスは最高近くまで上げておりアシッドサウンドの発振に近い状態で、ドラムとのサイドチェインコンプ(ドラムのキックに合わせてフィルターカットオフが少し戻るアナログ的反応)が独特のグルーヴを生む。DTMでのアシッドテクノ・ビッグビート制作においてTB-303型シンセのレゾナンス設定とフィルタースイープのオートメーション設計の参考になる。

No.3

Breathe

1997年『The Fat of the Land』収録でKeith Flintのボーカルが初めてフロントに出た代表曲。ドラムブレイクにサンプルソースを使い、ピッチを下げてヘヴィ感を出した後にリミッターを強くかけてピーク感を揃えるクリッピングに近い処理が施されている。「Breathe in / Breathe out」の繰り返しボーカルはコーラスエフェクトとリバーブを極力排除したドライ処理で、会話的な近さを保ったまま歪みだけを上乗せする録音設計。シンセベースはKorg MS-20系の倍音豊かなソフトシンセ風で50〜80Hzに集中させた低域重心型の音作り。DTMでのビッグビート制作においてヘヴィなドラムブレイクへのサチュレーション処理と、ドライボーカルへの歪みエフェクトのみのシンプルな加工手法の参考になる。

No.4

Invaders Must Die

2009年アルバム『Invaders Must Die』のタイトル曲で、Keith Flint逝去以前の最後の全盛期を代表する楽曲。シンセリードは反復するシンプルなモチーフで構成されており、音域(D4〜G4)が狭いため複数のシンセレイヤーを重ねてもマスキングが起きにくい設計になっている。ドラムはビッグビートからダンスミュージックに傾いたよりモダンな4つ打ちで、キックの音は低域(40〜60Hz)に集中した正弦波的なサブキックを現代的に使用。オクターブ下のシンセベースとキックを一体化させた「キックベース」的な低域設計はEDM制作の典型例。DTMでのエレクトロニック・ビッグビート制作においてシンセリードの繰り返しモチーフ設計とキックとベースの一体型低域処理の参考になる。

No.5

Warrior's Dance

2009年アルバム『Invaders Must Die』収録で、Tami Lynnの楽曲「I'm Gonna Run Away from You」(1971年)のボーカルサンプルをフックに使用したハードテクノ寄りのビッグビートナンバー。「I'm gonna run away」のフレーズはピッチシフトとタイムストレッチで短く切り刻まれたチョップサンプルとして機能しており、原曲の温かみのある女性ソウルボーカルがドライでアグレッシブなビート空間に配置される対比がトレードマーク的サウンドになっている。ドラムは4つ打ちキックにブレイクビーツを重ねたハイブリッド構造で、サイドチェインコンプにより4~6dBのポンピングが顕著。シンセベースは90~120Hzに固めた短アタックのモノ設計でキックと低域を共有しながら棲み分けている。DTMでのビッグビート・ハードテクノ制作においてボーカルサンプルのチョップ加工手法と4つ打ち×ブレイクビーツのハイブリッドドラム構成の参考になる。

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