デュエットの作り方・録り方|二人の声を喧嘩させずに聴かせるキー設計とミックス

📖デュエットは、ひとりで歌う曲の延長ではありません。📖キーの設計も📖ミックスも、専用の考え方が要ります。この記事では、その具体的な組み立て方をまとめます。

ミイ

カノンちゃんと一緒に歌う曲を作ったの。でもね、みぃが歌えるキーにするとカノンちゃんが低すぎて、カノンちゃんに合わせるとみぃが苦しくて……。

カノン

そうそう! 二人ともちょうどいいキーが存在しないんだよね。これってどうしようもないの?

解決できます。二人を同じ高さで歌わせようとするから行き詰まるのであって、📖オクターブをずらす、区間で分担する、という手が使えます。

この記事では、デュエットの3つの型・キーの設計・録り方・ミックスでの置き方までをまとめます。

目次

デュエットの3つの型

デュエットは二人で歌う形式ですが、二人がどう関わるかで3種類に分かれます。

1. 掛け合い(交互)
フレーズごと、あるいはセクションごとに交代する。会話のように聞こえ、歌詞に物語性を出しやすい。
2. 📖ユニゾン(同時・同じ高さ)
二人で同じ📖メロディを歌う。一体感が出る。男女ならオクターブ違いのユニゾンになる。
3. 📖ハモリ(同時・別の高さ)
二人が別の📖音程を同時に歌う。📖和音になって厚みが出るが、両方が主役なので音量設計が難しい。

ここがバッキングボーカルとの決定的な違いです。📖コーラス脇役として後ろに置くのが正解ですが、デュエットは両方が主役。後ろに下げる処理をそのまま持ち込むと成立しません。

キーの設計がすべて

デュエットで最初にぶつかり、最後まで効いてくるのがキーです。男女の声はおおよそ1オクターブ前後の差があります。片方に合わせれば、もう片方は必ず苦しくなります。

  1. 二人それぞれの最高音と最低音を先に確認しますトランスポーズで仮のキーを試しながら、両者の限界を把握します。
  2. サビはオクターブ違いのユニゾンにします。同じメロディを、片方が1オクターブ下で歌います。これでどちらも無理のない高さになり、しかも一体感が出ます。デュエットで最も使われる解法です。
  3. 📖Aメロ📖Bメロは分担します。1番のAメロを片方、2番のAメロをもう片方に割り当てれば、それぞれ得意な音域で歌えます。掛け合いの型が有効なのはこのためです。
  4. それでも収まらないなら、メロディを分けます。同じ譜面を二人に歌わせる必要はありません。片方だけ音を変える箇所を作れば解決します。

覚えておくと楽なのは、「ちょうどいいキーが1つある」という前提を捨てることです。デュエットは、二人が別の場所で歌える設計にすることで成立します。

カノン

あー、同じ高さで歌わなくていいんだ! オクターブ違いなら二人とも楽だし、それでちゃんと一緒に歌ってる感じになるんだね。

録り方

  1. 必ず別々に録ります。同時に1本の📖マイクで録ると、あとから片方だけ音量を変えることも、片方のミスだけ直すこともできません。
  2. できれば同じマイク・同じ距離・同じ設定で録ります。条件が揃っていると混ざりやすくなります。
  3. 掛け合いの場合、相手の📖テイクを返しに入れて歌います。会話として成立させるには、相手の歌い方に反応する必要があるからです。
  4. ユニゾンの場合はタイミングを揃えすぎないこと。完全に一致させると1本の声に聞こえてしまい、二人で歌っている意味が消えます。

ミックスでの置き方

ここが独特です。両方主役なのに、中央は1つしかありません

  1. 掛け合いの区間は、両方とも中央で構いません。交互に歌うので同時に鳴らず、席の取り合いが起きないからです。
  2. 同時に鳴る区間だけ、わずかに左右へずらしますパンニングで大きく振る必要はなく、中央から少し外すだけで分離します。
  3. 📖EQで住み分けます。二人の声の芯が同じ帯域にある場合、片方をわずかに削ります。低い声のほうから中低域を、高い声のほうから中高域を、というように役割を分けます。
  4. 音量は場面ごとに主役を決めます。デュエットは全編で対等である必要はありません。「ここは相手を立てる」という設計をして、📖オートメーションで作ります。
  5. 空間の深さは揃えます。片方だけ📖リバーブが多いと、同じ場所で歌っていないように聞こえます。

症状別・早見表

症状対処目安
二人ともちょうどいいキーがないサビをオクターブ違いのユニゾンに同じメロディを1オクターブ下で
片方だけ苦しそう区間で分担する得意な音域のセクションを割り当てる
同時に鳴ると濁るわずかに左右へずらす+EQで住み分け大きく振る必要はない
1本の声に聞こえるタイミングを揃えすぎないユニゾンは微妙なズレが命
どちらが主役か分からない場面ごとに主役を決めるオートメーションで作る
二人が別の場所にいるように聞こえるリバーブの量と種類を揃える空間は共有する

よくある質問

Q. 同時に録ったほうが一体感が出ませんか?

その場の空気は確かに出ます。ただしあとから一切修正できなくなるという代償があります。折衷案として、二人が同じ部屋で歌いながら、マイクは別々に立てて別📖トラックに録る方法があります。掛け合いの熱量を保ちつつ、編集の自由も残せます。

Q. 男女以外の組み合わせでも同じですか?

基本の考え方は同じですが、音域が近いほどミックスは難しくなります。同性同士だと声の帯域が重なるため、パンとEQでの住み分けがより重要になります。逆にキーの設計は楽になるので、難しさの場所が入れ替わると考えてください。

Q. ハモリと掛け合い、どちらが作りやすいですか?

掛け合いです。同時に鳴らないので、キーの問題もミックスの問題も起きにくくなります。最初のデュエットなら、AメロBメロを掛け合いにして、サビだけオクターブユニゾンという構成が失敗しにくい組み立てです。

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