アルバムやEPを作ったとき、曲と曲の間に一瞬の無音が入って流れが途切れることがあります。特に前の曲から途切れずに次へ入る構成にしていると、そこだけ不格好になります。この記事では、その原因と対処をまとめます。
作業ミスとは限りません。音声ファイルの形式そのものが、仕組みとして無音を作ってしまう場合があります。
この記事では、ギャップレス再生の意味・無音が入る理由・書き出しでの対処・確実につなげる方法までを扱います。
ギャップレス再生とは
ギャップレス再生とは、曲と曲の間に無音を挟まずに連続で再生することです。ギャップ(隙間)がない再生、という意味です。
これが必要になるのは、次のような作品です。
- 前の曲の余韻が次の曲へ流れ込むコンセプトアルバム
- 途切れずに続くライブ音源
- DJミックスやメドレー
- 短いインタールードを挟んで本編へ繋ぐ構成
なぜ無音が入ってしまうのか
理由1:圧縮形式の仕組み
MP3やAACといった非可逆圧縮の形式は、音声を一定の区切り(フレーム)ごとに処理する。曲の長さがちょうど区切りで終わるとは限らないため、先頭と末尾に埋め草の無音が付く。
理由2:再生側が対応していない
付加された無音の量は、エンコーダーが情報として書き込んでいることが多い。対応した再生アプリはそれを読んで無音を飛ばすが、非対応だとそのまま鳴らしてしまう。
理由3:素材そのものに無音がある
書き出し範囲の指定が甘く、曲の頭や末尾に実際の無音が含まれている。これは制作側の問題なので、自分で直せる。
WAVやFLACのような可逆・非圧縮の形式では、この問題は起きません。サンプル単位で正確に記録されるため、埋め草が発生しないからです。
書き出しの段階でやること
- 書き出し範囲を波形に合わせて詰めます。頭に余分な無音がないか、末尾の余韻が切れていないかを拡大して確認します。理由3はここで潰せます。
- フェードアウトが完全にゼロまで落ちているか確認します。途中で切れているとプツッというノイズになり、無音以上に目立ちます。
- マスターは可逆形式で書き出します。WAVやFLACで作っておけば、配信側での変換に任せられます。自分でMP3にしてから納品すると、埋め草の問題を抱えたまま先に進むことになります。
- 各曲のラウドネスを揃えます。つなげて聴かせる作品で音量差があると、曲間よりそちらが気になります。
- 実際につないで通しで聴きます。DAWに全曲を並べて、意図した流れになっているかを確認してから書き出します。



……なるほど。うちのミスやのうて、形式の話やったんか。せやったら、可逆で出しといたら大体解決するんやな。
確実につなげたいなら1ファイルにする
ここが実務的な結論です。再生環境をこちらで選べない以上、絶対に切れてほしくない箇所は1つのファイルにまとめるのが最も確実です。
| やりたいこと | 方法 | トレードオフ |
|---|---|---|
| アルバム全体を途切れなく | 形式を可逆にし、対応環境に任せる | 再生アプリ次第で切れることがある |
| 特定の2曲だけ確実につなげる | その2曲を1トラックとして書き出す | 曲単位で聴けなくなる |
| メドレー・DJミックス | 最初から1トラックで作る | 個別配信ができない |
| インタールードから本編へ | インタールードを本編の頭に含める | インタールード単体の再生ができない |
表を見ると分かるとおり、確実性と、曲単位で聴ける自由は両立しません。作品にとってどちらが大事かを決める話になります。1曲目と2曲目だけ絶対につなげたいなら、その2曲を1つにするのが唯一の確実な手段です。
よくある質問
Q. 配信サービスはギャップレスに対応していますか?
主要なサービスの多くは対応していますが、アプリの版や再生設定によって挙動が変わることがあります。仕様は変更される可能性があるため、配信先の最新の資料を確認してください。そのうえで、確実性が必要な箇所は前述のとおり1ファイルにまとめるのが安全です。
Q. クロスフェードでつなぐのとは違うのですか?
違います。ギャップレスは隙間なく並べること、クロスフェードは重ねて混ぜることです。再生アプリのクロスフェード機能は曲の終わりと次の始まりを重ねるので、作品側で設計した余韻が損なわれることもあります。作り手が意図した繋がりを守りたいなら、やはり1ファイル化が確実です。
Q. 曲の頭の無音は完全にゼロにすべきですか?
つなげたい場合はそうします。ただし波形の立ち上がりを切ってしまわないよう注意してください。ほんの数ミリ秒を削りすぎると、音の頭が欠けてプツッと鳴ります。拡大表示して、音が始まる直前で切るのが正解です。
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