Waves Lofi Space のマスターセクションには Mono という名前のつまみがあります。公式ユーザーガイドの説明は「ステレオイメージの幅を狭める。10=元のステレオイメージ、0=幅がモノまで縮む」。つまり数字を下げるほどモノに近づきます。名前と目盛りの向きが逆に読めるうえ、公式製品ページはこの同じコントロールを「Mono」ではなく「stereo slimmer(スリマー)」と呼んでいます。この記事では、全6ページしかない公式ガイドと公式Tech Specs、そして同じ音を扱う Retro Fi・Magma Springs のガイドを突き合わせて、この派手なプラグインの設計を解剖します。
想定読者は、すでに Lofi Space を持っていて「プリセットから先」に進みたい人と、ローファイ系のリバーブ&ディレイを買うか迷っている中〜上級者です。操作チュートリアルではなく、6ページのガイドが何を書き、何を書いていないのかを扱います。
数値と仕様は Waves 公式ユーザーガイド(Lofi Space / User Guide・英語・全6ページ)に基づきます。同梱PDFと Waves の CDN が配信するPDFは sha256 が一致し、製品ページ内の manualPDF フィールドも同じファイルを指していました(2026年9月5日確認)。加えて公式製品ページ(英語・日本語)と Tech Specs を、出どころを明示して使います。編集部はこの製品を所有していないため使用感の描写はせず、公式資料で裏が取れない数値は書きません。
カホ6ページのガイドに Range: の行は6本、Default: の行は0本。FDBK も Mix も、範囲すら公表されていません。何が分かっていて何が分かっていないかを、先に切り分けます。
この記事でわかること
- Mono つまみの向き(下げるほどモノ)と、ガイドと公式ページで呼び名が違うこと
- HP と LP の範囲が 1500 Hz でちょうど接している、という設計
- 公式Tech Specsの遅延が 44.1/48 kHz で0サンプル、88.2/96 kHz で99サンプルと増えること
- Retro Fi のガイドと文が一致する箇所と、数値が食い違う箇所
Lofi Spaceとは|何を解決する製品か
ガイド p.2 の定義はこうです。「Lofi Space は使いやすいリバーブとディレイの組み合わせプラグインで、はっきりしたローファイの音を持つ。目立って、開き直った効果を素早く作る方法だ」。そして締めが「Lofi Space is not shy.(Lofi Space は引っ込み思案ではない)」。仕様書というより所信表明に近い書き方で、この製品の立ち位置を先に宣言しています。
同じ p.2 が、構成を4つのセクションとして列挙しています。
- エコー:テンポを BPM でもミリ秒でも設定でき、ホストへの同期も可能。フィードバックは可変で、信号は左右に動かすことも中央に留めることもできる
- 長さ可変のリバーブ:スプリングかプレートを選べ、両者は「とても異なる振る舞い」をする
- ミキサー:ドライ信号と「エコーとリバーブのミックス」の間のバランスを取る
- マスターセクション:ハイパス/ローパスと、ステレオ出力の幅を調整する Mono コントロール(モノ信号には使えない)
挿し方についてもガイドは明示しています。「Lofi Space はステレオトラック、モノトラック、または出力がステレオのモノトラックにインサートできる」(p.2)。公式Tech Specs のチャンネル構成表もモノ/ステレオ/モノ→ステレオの3つを立てており、記述と一致します。対応サンプルレートは 96 kHz まで、対応バージョンは V17・V16・V15・V14・V13、リリース日は 2021年11月26日と公表されています。
プリセットについては、ガイド p.3 が「いちばん速い始め方はプリセットを使うこと」と書き、4ステップの手順まで載せています(プリセットを選ぶ→気に入らなければつまみを回す前に別のプリセットを試す→気に入ったら微調整、やりすぎたら読み込み直す→終わり)。数は書かれていませんが、公式英語ページは「133 super presets(トップのヒップホップ・R&B・ロックのプロデューサーによる)」と数えています。
価格については、公式日本語ページの表示で定価 17,380 円(公式英語ページの希望小売価格は 99 米ドル)です。Waves はセールが非常に多く実売は定価を下回るのが通例ですが、本稿の観測は2026年9月5日の1回ぶんしかないため、幅を名乗らず単発のセール価格も載せません。現在の価格は 公式製品ページ で確認してください。
設計思想:なぜこの効き方をするのか
「Mono」は下げるほどモノになる——名前と目盛りが逆を向いている
ガイド p.6 の一文が、この製品でいちばん操作を誤りやすい場所です。
Mono はステレオイメージの幅を狭める。10=元のステレオイメージ、0=幅がモノまで縮む(モノコンポーネントでは使用不可)。
読み違えやすい点が2つあります。ひとつは向き。「Mono」という名前から「上げるほどモノになる」と読むと逆で、上限の10が元のステレオ、下限の0がモノです。もうひとつは基準点。10 は「最大まで広げた状態」ではなく「元のまま」です。ガイドの動詞も narrows(狭める)だけで、元より広げる働きは書かれていません。つまりこのつまみは、上限に置いたときが素通し、そこから下げていく片側だけの調整として設計されています。
さらに、呼び名がガイドと公式ページで割れています。ガイドは本文でもUI図版でも「Mono」ですが、公式英語ページの機能一覧は「Stereo slimmer for a more vintage sound」、公式日本語ページは「Lofi Space には『スリマー』コントロールがあり、サンプルや生楽器のステレオ・フィールドを狭めて、古いモノラル・レコードの音を忠実に再現することも可能です」と書きます。狭める方向のコントロールだと考えれば「スリマー」の呼び方のほうが向きを取り違えにくいのですが、画面に出ている文字は Mono です。この記事ではガイドとUIの表記に合わせて Mono と呼びます。



「Mono を上げたのに広がった」は故障ではありません。10 が素通し、0 がモノ。ここを取り違えると、ローファイにしたつもりで逆方向に操作することになります。
HPとLPは1500 Hzで接している——「通す幅」を閉じ切れる設計
マスターセクションのフィルターは、範囲がこう公表されています(p.6)。
- HP range: 30 Hz to 1500 Hz
- LP range: 1500 Hz to 21,000 Hz
HP の上限と LP の下限がどちらも 1500 Hz です。つまり両方を内側いっぱいに寄せると、公表値のうえでは通過帯域が 1500 Hz の一点まで閉じます。狭帯域のラジオ・電話・古いレコードのような「帯域を殺した音」を、外部EQを足さずにこのプラグインの中だけで作り切れる、という設計です。ガイドはフィルターのスロープ(次数)を書いていないので、実際にどれだけ残るかは資料からは決められません。
置かれている位置も明記されています。「HP と LP フィルターは、エコーとリバーブのあとで高域と低域の量をコントロールする」。エフェクト成分に掛かることは確定ですが、ドライ/ウェットの Mix より前なのか後なのかは、この一文からは決まりません。なお同じ一文は「HP と LP」に「high-frequency and low-frequency」を並べており、順序としては入れ替わって読めます。どちらがどちらかは、上の範囲(HP が下側 30 Hz から、LP が上側 21,000 Hz から動く)で判断するのが確実です。
EchoとReverbのOn/Offは「バイパス」——チェインからは外れない
ガイド p.6 は、2つのプロセッサーのオン/オフについてわざわざ一文を割いています。「それぞれのプロセッサーにオン/オフスイッチがある。スイッチが Off のとき、Echo または Reverb ユニットはバイパスされるが、処理チェインの中には残る」。
「バイパス」と「チェインから外れる」を書き分けているのがポイントです。ガイドはこの区別が何をもたらすか(遅延やCPU)までは書いていません。ただし後述するとおり、公式Tech Specs の遅延はプラグイン単位で公表されており、セクションごとの値は公表されていません。片方を切っても構成が変わらないという書き方は、この公表のしかたと整合します。
Lockが守るのはMixだけ——プリセット試聴を「量」から切り離す
ウェット量の作り方が2段構えになっています。Echo Level は「Mix コントロールへ送られるエコー効果の全体レベル」、Reverb Level は「Mix コントロールへ送られるリバーブ効果の全体レベル」(p.5)。そして Mix は「ドライのプラグイン入力と、Echo・Reverb セクションの出力とのミックス」で、「ウェット信号のバランスは Reverb と Echo の Level で調整せよ」と指示があります(p.6)。2つの Level が中身の比率、Mix が全体の量という分担です。
その上で Lock がこう定義されています。「Mix コントロールをロックし、新しいプリセットが読み込まれたときに変わらないようにする」(p.6)。ガイドが p.3 で勧めているのは「気に入らなければつまみを回す前に別のプリセットを試す」という進め方でした。プリセットを次々に読み込むと普通は掛かり量まで一緒に飛びますが、Lock はそこだけを固定します。「量は自分が決めた値で固定したまま、音色だけを比較する」ための仕掛けで、p.3 の手順と p.6 の Lock は同じ思想の表と裏です。ロックの対象が Mix だけで、Echo Level・Reverb Level は対象外である点も、量と比率を分けた設計と一致します。
公式が公表した遅延は 0/0/99/99——高いレートで「増える」
ガイド全6ページに latency の語は出てきません(3系統の抽出でいずれも0件)。数字は公式製品ページの Tech Specs 側にあります。単位はサンプルです。
| サンプルレート | 44.1 kHz | 48 kHz | 88.2 kHz | 96 kHz |
|---|---|---|---|---|
| 遅延(サンプル) | 0 | 0 | 99 | 99 |
44.1/48 kHz では0サンプル、88.2/96 kHz では99サンプルです。レートを上げると遅延が増える、という向きになっています。0と99という段差なので、ゼロレイテンシー前提でトラッキングのモニターに挟むなら、セッションのレートによって前提が変わることになります。ガイドがこの点に触れていない以上、値の理由は資料からは分かりません。数字だけを事実として押さえてください(本稿はミリ秒への換算はしていません。公式が公表しているのはサンプル数のみだからです)。
【公式どうしが割れている】Retro Fiと同じ文・違う数値
Waves には、エコーとスプリング/プレートのリバーブを一体で持つ製品がもう1本あります。Retro Fi の Space モジュールです。両方の公式ガイドを実際に読み比べると、同じ文が並んでいる箇所と、数値が食い違う箇所がはっきり分かれます。
| 項目 | Lofi Space ガイド | Retro Fi ガイド | 関係 |
|---|---|---|---|
| FDBK の説明 | 「エコーモジュールに戻すことで繰り返しの回数をコントロールする。Echo プロセッサーを1周するごとにエコーの音量が下がる。100 で無限のフィードバックになる」(p.4) | 同一の文(p.9) | 一致 |
| Ping Pong | 「エコーが左右に動くか、止まっているかを決める。On=左右に跳ね返る/Off=イメージの中央に止まる」(p.5) | ほぼ同一の文(p.9) | 一致 |
| Mono | 「10=元のステレオイメージ、0=幅がモノまで縮む」(p.6) | 同一の文(p.14) | 一致 |
| HP の範囲 | 30 Hz〜1500 Hz(p.6) | 30 Hz〜1500 Hz(p.14) | 一致 |
| LP の範囲 | 1500 Hz〜21,000 Hz(p.6) | 15,000 Hz〜21,000 Hz(p.14) | 食い違い |
| Spring の説明 | 「Spring はより暗い響きのリバーブで、缶の中に音を入れたよう。Plate はより明るく密で、空っぽの倉庫のよう」(p.5) | 「Spring は一般により打楽器的な響きで、缶の中に音を入れたよう。Plate はたいていより密で、空っぽの倉庫のよう」(p.10) | 形容が違う |
LP の下限は 1500 Hz と 15,000 Hz で10倍違います。どちらかが誤植なのか、実装が本当に違うのかは、本稿が確認した範囲の公式資料では決められません。両方とも誌面を画像化して目視し、桁落ちや抽出ミスでないことは確かめてあります。同じ「缶の中/空っぽの倉庫」という比喩を使いながら Spring の形容だけが「暗い」と「打楽器的」で入れ替わっている点も同様で、どちらが正しいという書き方はしません。Lofi Space を使うときは Lofi Space のガイドの値を採る、というのが安全な扱いです。
逆に、Retro Fi のガイドのほうが親切に書いている箇所もあります。Lofi Space の Sync は「BPM=手動。Time コントロールの値がエコーのテンポを BPM で設定する。Range: 1/64T to 2 Bar」という書き方で、「BPM で設定する」と言いながら範囲が音符単位という、そのままでは読み解きにくい説明になっています。Retro Fi のガイド p.9 は同じ機構を「MS Sync モードでは時間はミリ秒で表示され、Host と BPM Sync モードでは音符単位で表示される」「BPM=手動のユーザー設定に同期(BPM で)」と分けて書いており、こちらを読むと Lofi Space の Echo パネルにある数値ボックス(図版では 120)が手動 BPM の入力欄であることが理解できます。Lofi Space のガイド本文には、この数値ボックスの説明はありません。



公式が割れているときに「どちらかが間違い」と決めつけないでください。決めるべきなのは、いま自分が触っているプラグインのガイドはどちらか、です。
全パラメーター
ガイド全6ページで Range: が書かれているのは6本だけ、Default: は0本です(pypdf・pdfminer.six・PyMuPDF の3系統でいずれも同数)。以下、書かれていないものは「記載なし」と明示します。
| セクション | コントロール | ガイドの説明 | 範囲・初期値 |
|---|---|---|---|
| Echo | Time | エコーの間隔をコントロール。表示される時間の値は Sync モードによって変わる | 下の Sync 各モードに準じる |
| Echo | Sync(BPM) | 手動。Time コントロールの値がエコーのテンポを BPM で設定する | 1/64T 〜 2 Bar/初期値の記載なし |
| Echo | Sync(MS) | 手動。Time コントロールの値がエコーのテンポをミリ秒で設定する | 1 〜 3500 ミリ秒/初期値の記載なし |
| Echo | Sync(Host) | エコーのテンポはホストのBPMに基づき、Time はホストBPMの関数としてテンポを調整する | 1/64T 〜 2 Bar/初期値の記載なし |
| Echo | FDBK(Feedback) | エコーモジュールに戻すことで繰り返しの回数をコントロール。1周ごとに音量が下がる。100 で無限のフィードバック | 範囲・初期値の記載なし(100が無限とだけ明記) |
| Echo | Ping Pong | On=エコーが左右に跳ね返る/Off=イメージの中央に止まる | On/Off の2択。初期値の記載なし |
| Echo | Echo Level | Mix コントロールへ送られるエコー効果の全体レベル | 範囲・初期値の記載なし |
| Reverb | Reverb Length | リバーブテイルの長さを秒単位で調整 | 0.5秒 〜 20秒/初期値の記載なし |
| Reverb | Spring / Plate(Type) | Spring はより暗い響きで缶の中のよう。Plate はより明るく密で空っぽの倉庫のよう。ユニットは2種類のIRリバーブを持つ | 2択。初期値の記載なし |
| Reverb | Reverb Level | Mix コントロールへ送られるリバーブ効果の全体レベル | 範囲・初期値の記載なし |
| 共通 | Echo/Reverb On/Off | Off のときユニットはバイパスされるが、処理チェインの中には残る | On/Off の2択。初期値の記載なし |
| Master | HP | エコーとリバーブのあとで帯域をコントロール | 30 Hz 〜 1500 Hz/初期値の記載なし |
| Master | LP | 同上 | 1500 Hz 〜 21,000 Hz/初期値の記載なし |
| Master | Mono | ステレオイメージの幅を狭める。10=元のステレオ、0=モノ。モノコンポーネントでは使用不可 | 0 〜 10(説明文中の値)/初期値の記載なし |
| Master | Mix | ドライのプラグイン入力と、Echo・Reverb セクションの出力とのミックス | 範囲・初期値の記載なし |
| Master | Lock | Mix コントロールをロックし、新しいプリセット読み込み時に変わらないようにする | On/Off の2択。初期値の記載なし |
p.3・p.4・p.5・p.6 の誌面を画像化して目視した範囲では、Echo パネルは TIME/SYNC(BPM・HOST・MS の3ポジション)+数値ボックス/FDBK/PING PONG(OFF・ON)/LEVEL、Reverb パネルは LENGTH/TYPE(SPRING・PLATE)/LEVEL、Master パネルは HP/LP/MONO/MIX+南京錠アイコン、という並びでした。図版に写っているつまみの位置は初期値の証拠にはならないため、初期値としては扱っていません。
用途別・設定の始点
下の表は、ガイドの記述と公式ページの記述だけで組み立てています。編集部が試した設定値ではありませんし、ガイドに数値の推奨は書かれていません。
| やりたいこと | 資料から言えること |
|---|---|
| とりあえず形にしたい | ガイド p.3 の手順が「プリセット→合わなければつまみを回す前に別のプリセット→気に入ったら微調整→やりすぎたら読み込み直す」。公式英語ページは133プリセットと数えている |
| 掛かり量を固定してプリセットを比べたい | Mix を決めてから Lock を入れる。Mix だけが固定され、音色は差し替わる |
| エコーとリバーブの比率を変えたい | Mix ではなく Echo Level と Reverb Level。ガイドが「ウェット信号のバランスはこの2つで」と指示している |
| 古いモノラル・レコードのようにしたい | Mono を下げる(0がモノ)。公式日本語ページも「ステレオ・フィールドを狭めて、古いモノラル・レコードの音を忠実に再現」と同じ用途を挙げている |
| ラジオ/電話のような細い帯域にしたい | HP を上へ、LP を下へ。公表値では両方の端が 1500 Hz で接する。スロープはガイドに記載がない |
| エコーを中央に留めたい | Ping Pong を Off。ガイドの定義が「Off=イメージの中央に止まる」 |
| 暴走寸前まで溜めたい | FDBK は「100 で無限のフィードバック」。100 が上限であることは明記されていないので、値の扱いには注意 |
| 音作りの素材として使いたい | 公式英語ページが「サウンドデザインに最適——ピンクノイズを入れていじり始めるとよい」と具体的な入り口を挙げている |
| トラッキングのモニターに挟みたい | 公式Tech Specs の遅延は 44.1/48 kHz で0サンプル、88.2/96 kHz で99サンプル。セッションのレートで前提が変わる |
似た製品との使い分け
以下の比較は、いずれも比較先の公式ユーザーガイドを実際に読んで書いています。
| 比べる点 | Lofi Space | Retro Fi | Magma Springs |
|---|---|---|---|
| ガイドのページ数 | 6 | 14 | 5 |
| 持っているもの | エコー+リバーブ+マスター | Device/Space/Noise/Mechanics+マスターの5セクション | スプリングリバーブ専用(+Drive・Pre Delay・Feedback) |
| リバーブの種類 | IRリバーブ2種(Spring/Plate) | 2種(Spring/Plate) | スプリングのIRが7種 |
| エコー | あり(1〜3500 ms/音符同期/Ping Pong) | あり(1〜3500 ms/音符同期/Ping Pong) | Pre Delay 0〜600 ms のみ(繰り返しではない) |
| ステレオ幅 | Mono(10=元、0=モノ) | Mono(同一の説明文) | ST/MONO の2択スイッチ |
| 出力フィルター | HP 30〜1500 Hz/LP 1500〜21,000 Hz | HP 30〜1500 Hz/LP 15,000〜21,000 Hz | Treble・Bass シェルフ 各 ±18 dB |
| 歪み・ノイズの追加 | ガイド p.2 は製品説明で「サチュレートされた」音と書くが、p.4〜p.6 のコントロール一覧に歪み量のつまみは出てこない | Noise モジュールと Device のスタイラーで明示的に足す | Drive 0〜100(入力ゲインを上げると倍音歪みが増える) |
| 公表された遅延(サンプル) | 44.1/48=0、88.2/96=99 | —(本稿は取得していない) | 全レート 49 |
| ガイドの Default 行 | 0本 | — | 0本 |
選び分けの軸は単純です。ローファイの「時代感」まで込みで一括りにしたいなら Retro Fi——ノイズもワウフラッターも別モジュールとして持っています。スプリングの音そのものを7種から選びたいなら Magma Springs。エコーとリバーブの2つだけを、目立たせる方向で速く決めたいなら Lofi Space です。Lofi Space はセクションが4つしかないぶん、迷う場所も少なくなっています。
よくある質問
Monoを上げるとモノになりますか?
逆です。ガイド p.6 は「10=元のステレオイメージ、0=幅がモノまで縮む」と書いています。下げるほどモノに近づき、10 が素通しです。またモノコンポーネントではこのコントロールは使えない、とも明記されています。公式製品ページが同じコントロールを「stereo slimmer/スリマー」と呼んでいるのは、この向きを考えると理解しやすい呼び方です。
つまみの初期値はどこに書いてありますか?
本稿が参照した全6ページのガイドには、Default: で始まる行が1本もありません(3系統の抽出でいずれも0件)。範囲が書かれているのも6か所(BPM/MS/Host のテンポ、リバーブ長、HP、LP)だけです。FDBK・Echo Level・Reverb Level・Mono・Mix の範囲と初期値は、このガイドからは埋められません。p.3〜p.6 のUI図版につまみの位置は写っていますが、図版は初期値の証拠になりませんので、本稿では数値として扱っていません。
EchoをOffにすれば、負荷や遅延は減りますか?
ガイドが書いているのは「Off のときユニットはバイパスされるが、処理チェインの中には残る」(p.6)というところまでです。負荷や遅延がどうなるかは書かれていません。公式Tech Specs の遅延もプラグイン単位で、セクションごとの内訳は公表されていません。したがって「減る」とも「減らない」とも、本稿が参照した資料からは言えません。
Retro FiのSpaceモジュールがあれば、Lofi Spaceは要りませんか?
両方のガイドを読み比べると、FDBK・Ping Pong・Mono の説明文が一致しており、共通する土台があることは資料の上でも分かります。一方で LP の範囲は 1500 Hz と 15,000 Hz で公表値が異なり、Lofi Space の Master には Mix と Lock がありますが、Retro Fi の Master にあるのは Input・HP・LP・Mono・Output だけです(Retro Fi の Mix は Device と Space の各モジュール側にあり、Lock にあたるコントロールは本稿が読んだ14ページには出てきません)。逆に Retro Fi には Noise・Mechanics・Device という Lofi Space に無い3モジュールがあります。置き換えの関係ではなく、切り出し方の違う別製品として扱うのが、公表されている情報に沿った理解です。
まとめ
- Mono は下げるほどモノ。10 が元のステレオで、上限が素通し。公式ページはこれを「スリマー」と呼んでいる
- HP の上限と LP の下限がどちらも 1500 Hz。帯域を殺す加工をこの1本で完結できるように範囲が切られている
- 本稿が参照した全6ページのガイドには
Default:の行が0本、Range:の行が6本。数値で追い込むより、Lock と2つの Level で「量と比率」を分けて操作する設計になっている



初期値が書かれていないプラグインは、雑に作られているとは限りません。プリセットから入って耳で決める、という前提のほうが強い設計です。だからこそ Lock の1ボタンが効きます。


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