この記事では、Waves CLA Epic の中身を「4つのディレイ」「4つのリバーブ」「その2つを結ぶルーティング」という3層に分けて、公式ユーザーガイドの記載に沿って解剖します。ディレイをリバーブに送るか出力に送るかで直列と並列が切り替わり、そのときフェーダーが意味するものまで変わる——この一点がこの製品の設計の中心です。あわせて全パラメーターの範囲と、Modulator の1ノブが同時に2つの量を決める仕組みを扱います。
CLA Epic は、ミキシングエンジニアの Chris Lord-Alge とともに設計された空間系プロセッサーです。現在配布されている公式ガイドが彼の仕事として挙げているのは Green Day、Muse、Bruce Springsteen、Keith Urban。公式ガイドはこの製品を「大型の1980年代中期アナログ・ミキシングコンソールと、初期のデジタルディレイおよびリバーブ群を結合したもの」と考えるとよい、と説明しています。同じ Chris Lord-Alge の名を冠する製品群のうち、Signature 系の CLA シリーズ6本(Vocals・Guitars・Bass・Drums・Unplugged・Effects)の概要と使用場面は、入門側の記事 【Wavesプラグイン】「CLAシリーズ」の概要と使用場面、使い方を解説 にまとめてあります。
エフェクトのフェーダーが8本(ディレイ4本+リバーブ4本)並んでいるので「エフェクトを8つ混ぜる製品」に見えますが、それは半分です。実際には、左のディレイ4本の出力をどこへ流すかを決める配線盤が下に隠れていて、そこを触らないかぎり、この製品は8つの独立したエフェクトのままです。公式ガイドが「ここで魔法が生まれる」と書いているのは、フェーダーではなく配線のほうです。
カホこの製品で最初に覚えるのはディレイの種類ではありません。ディレイの出口をどこにつなぐか、です。
この記事でわかること
- 4つのディレイ(Tape/Throw/Slap/Crowd)と4つのリバーブ(Plate/Room/Hall/Space)が、それぞれ何を持ち何を持たないか
- ルーティングで直列・並列・その両方が決まる仕組みと、そのときディレイフェーダーの意味が変わること
- Modulator の1つのノブが rate と depth を同時に決める読み方
- 現行版で増えた Wet/Dry Mix のロックボタンが、どの場面で効くか
- 公式ガイドに記載された全パラメーターの範囲と、触る順序
CLA Epicとは|何を解決する製品か
製品の位置づけの説明は、ガイドの版で変わっています。製品に同梱されている2020年版のガイドには「Waves Artist Signature Series」という見出しがあり、Signature Series を「世界のトップ・プロデューサーやエンジニアとの共同で作られ、アーティスト自身が設計した処理チェーンを使って、そのアーティスト固有のサウンドと制作スタイルを捉える製品ライン」と説明したうえで、CLA Epic を CLA Signature Series の一本として紹介していました。現在配布されている版には、この見出しも段落もありません。Signature Series という語も本文から消えています。なお、同じ CLA 名義でも CLA Artist Collection(CLA Vocals・CLA Drums・CLA Bass・CLA Guitars・CLA Unplugged・CLA Effects の6製品)とは別の枠で、CLA Guitars 側の公式ガイドが列挙する6製品に CLA Epic は含まれていません。
公式ガイドによれば、CLA Epic は Chris が長年使ってきた4つの定番ディレイに、入念に合わせたリバーブを組み合わせる製品で、対象は個々の楽器からミックス全体まで。ガイドは調整の出発点として「まず Load メニューから CLA プリセットを読み込むこと」を勧めており、クイックスタートには「フェーダーが0に設定されていても、CLA のエフェクトはなお有効である」と書かれています。つまり、この製品には「素通し」の状態が用意されていません。
コントロールは5つのセクションに分かれています——入力、出力、ディレイプロセッサー、リバーブプロセッサー、ルーティング。ディレイは任意のリバーブへ、あるいは出力ミキサーへ直接送れますが、リバーブは常に出力へ直行し、ディレイ側へ戻すことはできません。信号は左から右へ一方通行、というのがこの製品の骨格です。
コンポーネントは Stereo と Mono-to-Stereo の2つ。公式ガイドは「インターフェースも機能も同じで、違いは Mono-to-Stereo の入力メーターがモノラル1本であることだけ」と書いています。
設計思想:なぜこの効き方をするのか
配線が「直列か並列か」を決めている
各ディレイの出力には、送り先を指定するボタンが5つあります。4つのリバーブ(A・B・C・D)と、プラグイン出力(Out)です。この5つのどれを点けるかで、処理の形が変わります。
| 点けるボタン | 処理の形 | そのときディレイフェーダーが操作しているもの |
|---|---|---|
| A〜D のみ | 直列。ディレイは出力へ行かずリバーブへ直行し、リバーブは手前のディレイの影響を直接受ける | リバーブ入力へ送るディレイ信号のウェット/ドライ |
| Out のみ | 並列。ディレイ処理とリバーブ処理は互いに独立 | プラグイン出力へ送るディレイ信号のウェット/ドライ |
| A〜D と Out の両方 | 直列と並列の両方 | プラグイン出力へ送る信号のウェット/ドライ。直出しの量は OUT ボタン横の小さな値ボックスで調整する |
| 何も選ばない | 入力信号がすべてのディレイとすべてのリバーブへ送られる | — |
同じフェーダーが、配線によって「リバーブへの送り量」になったり「出力への送り量」になったりする。ここを把握しないままフェーダーを上げると、聴こえ方が予想と食い違います。なお各送りの量は、ルーティングの矢印を開くと出てくる小さなフェーダー群で個別に調整でき、フェーダーにカーソルを重ねると経路とゲイン値が表示されます。



フェーダーの「意味」が配線で変わる製品はそう多くありません。触る前に、どこへつながっているかを見る癖をつけてください。
ミュートが「送り先の異常」を教えてくれる
各エフェクトにはミュートとソロがあり、入力セクションのミュートパネルで全エフェクトの状態を一覧できます。読み方は2段階です。ミュートボタンが点滅していれば別のプロセッサーがソロ中、点灯していればそのエフェクト自体がミュートされている、という意味になります。
もう1つ、この製品固有の表示があります。1つ以上のリバーブへ送っているディレイをミュートすると、送り先のリバーブ側のミュートボタンが灰色に点滅します。これは「そのリバーブが、期待していた入力を受け取っていない」ことを示すサインです。直列に組んだときにリバーブから音が出ない理由が、リバーブ側ではなくディレイ側にあると即座に分かるようになっています。
Modulator は1つのノブで2つの量を決める
公式ガイドは Modulator を「プラグインの出力に動きを加える」ものと説明する一方、同じ節で「1つのロータリーコントロールが、あるプロセッサーのモジュレーションのレートとデプスを設定する」とも書いており、実際のノブは各プロセッサーのパネル見出し部(MOD 表示の右)に置かれています。控えめに使えば音に幅が加わり、強く使うと明確な揺れ(warbling)になる、というのが公式の説明です。ここでの rate はモジュレーターが1周するのにかかる時間=速さ、depth は変化の量を指します。
特徴的なのは、1つのロータリーコントロールがその両方を決めることです。ノブの外周は4つのセクションに分かれていて、時計回りに進むごとにセクションのモジュレーション深度が深くなります。そして各セクションの中で rate が動きます。公式ガイドが載せている対応表は次のとおりです。
| 表示値 | 設定 |
|---|---|
| 1–25 | 浅い depth、rate は 1–100 |
| 26–50 | やや浅い depth、rate は 1–100 |
| 51–75 | やや深い depth、rate は 1–100 |
| 76–100 | 深い depth、rate は 1–100 |
公式ガイドの例では、最初のセクションの上端付近に指標を置くと「浅い depth + 速い rate」になり、最も高いセクションの下側に置くと「深い depth + 遅い rate」になります。つまり、depth と rate を独立に決めることはできず、この4×連続という格子の上から1点を選ぶ設計です。なお公式ガイドは、タップをモジュレートするとディレイタイムに揺れが生まれ、その結果として各タップのピッチが変わる、とも書いています。
ウェット側だけがサンプルレートを落として処理される
出力セクションの Wet/Dry Mix には、音づくりの根幹に関わる注記が付いています。公式ガイドの原文は「To help achieve Chris’s signature sound, the wet signal is internally down-sampled to 44.1 Hz for processing and then up-sampled to the session sample rate.」——Chris のシグネチャーサウンドを実現するため、ウェット信号は内部で 44.1 にダウンサンプリングして処理され、その後セッションのサンプルレートへアップサンプリングされる、という記述です。
ここで押さえるべき事実は「ウェット側だけが、いったん低いレートに落とされてから戻ってくる」という一点です。数字に付いている単位はマニュアル表記のまま引用しており、こちらで書き換えていません。いずれにせよ、高いサンプルレートのセッションで走らせても、この製品のウェット側は素通しにはならない、というのが公式の説明です。
Wet/Dry Mix には、プリセットから守るための鍵が付いた
同じ出力セクションに、混ぜ具合を固定するボタンがあります。DRY/WET ノブのすぐ右に置かれた南京錠のマークで、公式ガイドの説明は「WET/DRY MIX LOCK BUTTON をクリックすると、新しいプリセットを読み込んだときに wet/dry のバランスが変わらないようにできる」というものです。
効くのはプリセット読み込みの場面です。CLA プリセットを次々に読み比べていくと、通常は混ぜ具合もプリセット側の値に置き換わってしまいます。ロックを掛けておけば、音色だけを差し替えて、ウェット量は自分が決めた値のまま比較できます。公式が「まず CLA プリセットから始めること」を勧めている製品なので、聴き比べの精度に直接効くボタンです。
このボタンは、製品に同梱されている2020年版のガイドには本文にも図にも見当たらず、現在配布されている版で加わったものです(現行版は出力ストリップの拡大図が2か所——インターフェース図の脇と Output Section の節——にあり、どちらにも南京錠が描かれています)。手元のプラグインの DRY/WET ノブの右を見て、鍵が無ければ更新を確認してください。
全パラメーター
入出力と、全プロセッサー共通の部分
| コントロール | 範囲 | 役割 |
|---|---|---|
| Input フェーダー | −12dB 〜 +12dB | 入力ゲイン。極端な位置にしないと適正にならない場合は、DAW 側かEpicより前のプラグインでレベルを直すよう公式が指示している |
| 入力メーター | — | プラグインの入力ゲインをポストフェーダーで表示 |
| ミュートパネル | — | 全エフェクトのミュート状態を一覧。各エフェクトは自前のミュートボタンからもパネルからもミュートできる |
| エフェクトフェーダー(各プロセッサー) | −inf 〜 +10dB | そのプロセッサーの出力ゲイン |
| Solo/Mute(各プロセッサー) | — | ミュート点滅=別のプロセッサーがソロ中、点灯=そのエフェクトがミュート |
| Hi-pass/Lo-pass(各プロセッサー) | — | プロセッサー出力の不要な低域・高域を除去。値はコントロールにカーソルを重ねると表示 |
| Modulator | 表示 1–100(外周4セクション) | 1つのノブで depth と rate を同時指定 |
| Wet/Dry Mix | 0%(dry)〜 100%(wet) | 処理側と原音側の混合比 |
| Wet/Dry Mix ロックボタン | オン/オフ | 新しいプリセットを読み込んでも wet/dry のバランスが変わらないようにロックする。DRY/WET ノブの右にある南京錠のボタン |
| Output フェーダー | −12dB 〜 +12dB | プラグイン出力のトリム。フェーダーに触れると値が表示される |
| 出力メーター | −36dB 〜 0dB | クリップ表示は保持され続ける。メーターをクリックすると解除 |
4つのディレイ
| ディレイ | コントロール | 公式ガイドの説明 |
|---|---|---|
| Tape | Tap 1/Tap 2 の Delay Time(1ms〜5000ms)、Sync、Feedback(タップごとに独立)、Offset(最大20%)、Modulation | 豊かで太いディレイ。アナログテープの録音ヘッドと再生ヘッドの間隔を利用して作られた効果が起源。頭が厚く、比較的速く減衰する。テープ由来のEQが掛かっている。Tap 1 は左チャンネル、Tap 2 は右チャンネルへ送られる |
| Throw | Tape と同じ一式 + Trigger On/Off | Tape に似ているが、タップ入力を手動またはオートメーションでトリガーできる。特定の1音・1語・1音素にディレイを掛けたいときに使う |
| Slap | Delay Time(1ms〜5000ms)、VSO(7½/15/30 IPS または手動ms)、Sync On/Off、Feedback、Modulation | 短いリバーブに似ているが、連続したリリースを持たない。建物にはさまれた路地で叫んだときの、はっきりした一発のエコーが実例 |
| Crowd | Tight〜Wide の1コントロールのみ(見出し部の Modulation ノブは他と共通) | だんだん長くなるディレイが連なり、時間とともに減衰していくことで音を豊かにする。Wide に近づくほどタップのディレイタイムが伸びる。CLA の発明にあたる処理で、結果として得られる広がりはリバーブより複雑で明瞭 |
Tape と Throw の Offset は、2つのタップのディレイタイムを逆方向に振る(pivot する)コントロールで、最大20%まで動きます。公式ガイドの例では、Tap 1 が 100ms、Tap 2 が 200ms のときに Offset を 20% に上げると、Tap 1 は 120 に上がり、Tap 2 は 160 に下がります。2つのタップの値が近くて効果がモノラル的に感じられるときに使う、という位置づけです。
Sync については「Epic は常にホストと同期している」と明記されており、ドロップダウンから音楽的な分割を選ぶ形になっています。ホストから独立した値を入れたい場合は Sync をオフにします。Slap の VSO は、録音ヘッドと再生ヘッドの間をテープが移動する速度をシミュレートするもので、テープ速度を選ぶと対応する EQ カーブが背後で読み込まれます。この速度とEQカーブの組み合わせが CLA サウンドの一部を作っている、というのが公式の説明です。ディレイタイム自体は手動でも Sync でも変えられますが、EQ カーブは新しいテープ速度を選ぶまで変わりません。
4つのリバーブ
| コントロール | 範囲 | 役割 |
|---|---|---|
| Pre-Delay | 0ms 〜 1000ms | 原音とリバーブテールの立ち上がりの時間差。長くすると声や楽器の前に空間ができるが、長すぎると不自然になる |
| Reverb Time | 0.1秒 〜 20.0秒 | 音圧が60dB下がるまでの時間=テールの実質的な終端 |
| RT Low(低域ダンピング) | 倍率で指定 | Reverb Time に対する低域の減衰時間。高くすると暖かく部屋らしい響き、低くすると明瞭な響きになる |
| RT High(高域ダンピング) | 倍率で指定 | Reverb Time に対する高域の減衰時間。高いほどテールが明るくなる |
| Decay(Space のみ) | 0.04 〜 3.5(non-linear) | 設定した Reverb Time より手前でテールを断ち切る。最も高い設定ではゲートリバーブのように振る舞う |
Plate・Room・Hall の3つは同じコントロールを持ち、違うのは固有の EQ カーブだけ、と公式ガイドは書いています。4つ目の Space だけが Decay を持ちます。Decay を最も高くしてゲートリバーブとして使う場合、ゲートされるだけの長さが必要なので Reverb Time は1秒より長くしておくこと、という条件も明記されています。RT Low・RT High は倍率(×)で指定するもので、公式ガイドは Space の説明で「暖かい部屋なら×1.00をわずかに超える値、明瞭さの高い部屋なら×1.00未満」「コンサートホールなら×0.25〜×1.5あたり」という例を挙げています。
用途別・設定の始点
公式クイックスタートが示す順序は明快です。信号は左のディレイから右のリバーブへ流れるので、まず少なくとも1つのディレイを決め、そのあとリバーブを試す。ディレイのフェーダーをクリックするとそのコントロールパネルが開くので、使う予定のプロセッサーを詰める前に、他のディレイも一度聴いておくことが勧められています。より良い出発点が見つかるかもしれないから、という理由です。
そのうえで公式は「まず Load メニューから CLA プリセットを読み込むこと」を勧めています。調整の出発点になるだけでなく、状況ごとに CLA サウンドをどう作るのが最善かが分かるから、という説明です。
| やりたいこと | ルーティング | 公式ガイドの根拠 |
|---|---|---|
| ディレイの後ろでリバーブを鳴らし、リバーブ自体をディレイで揺らしたい | そのディレイの A〜D のどれかだけを On | 直列。ディレイは出力へ行かずリバーブへ直行する |
| ディレイとリバーブを独立に鳴らしたい | Out だけを On | 並列。両者は互いに影響しない |
| ディレイ単体も聴かせつつリバーブへも送りたい | A〜D と Out を両方 On | 直列と並列の同時。直出し量は OUT 横の値ボックス |
| とりあえず全部の入口を開けたい | 何も選ばない | 入力が全ディレイ・全リバーブへ送られる |
| 特定の1語だけにロングディレイを掛けたい | Throw を使い、Trigger をオンにして必要な瞬間だけボタンを押す | Trigger は手動またはオートメーションでタップ入力を開閉する |
Trigger の向きは間違えやすいので、公式の記述をそのまま確認しておきます。Trigger がオンのとき、隣の Trigger ボタンを押している間だけタップへの入口が開き、ディレイに信号が送られ続けます。ボタンを離すと入口が閉じ、効果が止まります。Trigger がオフのときは、入力信号が常にエフェクトへ送られます。「オフ=掛からない」ではありません。



Trigger をオフにしたら掛からなくなる、と思って踏むと逆です。オフは「常時オン」の状態です。
似た製品との使い分け
CLA Effects・CLA Unplugged との違い
同じ CLA 名義の空間系として CLA Effects と CLA Unplugged があります。この2製品は CLA Artist Collection に属し、公式ガイドのクイックスタートはエフェクトリターン(AUX バス)に挿し、Direct スイッチをオフにすることを指定しています(ソーストラックに挿す場合は Direct をオンにする、という但し書き付き)。ウェット/ドライの扱いを Direct スイッチで切り替える設計です。
CLA Epic 側には Direct スイッチはなく、代わりに出力セクションに Wet/Dry Mix(0〜100%)が置かれています。そして決定的に違うのが、ディレイ→リバーブのルーティング行列を持っていることです。CLA Effects の公式ガイドのクイックスタートが挙げているのは EQ/Distortion/Reverb/Short Delay/Long Delay/Pitch と Throw コントロールで、ディレイ出力をリバーブ入力へ差し込む配線盤は登場しません。
紛らわしいのが「Throw」という語です。CLA Epic の Throw は4つのディレイのうちの1つ(Tape に似た構造にトリガーが付いたもの)。CLA Effects の Throw はロングディレイへの送りを一時的に開けるコントロールで、Send Long Delay スイッチと組みで使い、Hold にすると常時送られます。名前が同じでも別の製品の別の部品です。
単体のディレイ/リバーブとの違い
CLA Epic は、ディレイとリバーブを別トラックに立てて手で繋ぐ作業を、1枚の中の配線盤に畳んだ製品です。逆にいえば、ここに無いもの——たとえばリバーブからディレイへ戻す経路——は作れません。公式ガイドはこの制約を明記しています。また、フェーダーの範囲が −inf 〜 +10dB である以上、フェーダー0は無音ではありません。「切る」つもりならミュートを使うか −inf まで下げる必要があります。
よくある質問
フェーダーを0にすればそのエフェクトは消える?
消えません。エフェクトフェーダーの範囲は −inf 〜 +10dB で、目盛りの最小は0ではなく −inf のほうです。現在配布されている公式ガイドは、クイックスタートの中で「フェーダーが0に設定されていても、CLA のエフェクトはなお有効である」と明記しています。同梱の2020年版には、これに加えて「フェーダーをすべて0にしても、彼のサウンドは働いている」という一文もありましたが、その段落は現行版で削除されました。止めたいならミュートするか、−inf まで下げてください。
リバーブのミュートボタンが灰色に点滅している
そのリバーブへ送っているディレイがミュートされているサインです。公式ガイドの説明では、この点滅は「そのリバーブが期待された入力を受け取っていない」ことを示します。直列に組んだのに音が出ない、というときはまずここを見てください。なお、単に点滅しているだけなら別のプロセッサーがソロ状態、点灯していればそのエフェクト自体がミュートされている、という読み分けになります。
リバーブをディレイの前に置きたい
できません。リバーブ出力は常にプラグイン出力へ直行し、信号の流れの上流にあたるディレイへ戻すことはできない、と公式ガイドに明記されています。ディレイ→リバーブという順序はこの製品の前提です。
Plate・Room・Hall はどう使い分ける?
公式ガイドがこの3つについて説明しているのは、「同じコントロールを持ち、それぞれ固有の EQ カーブを持つ古典的なリバーブ」ということだけです。どの音源にどれを、という指定はありません。判断材料が EQ カーブの違いしか示されていない以上、実際に切り替えて選ぶ以外の方法はない、というのが公式の立場です。
まとめ
- 中身は4つのディレイ(Tape/Throw/Slap/Crowd)と4つのリバーブ(Plate/Room/Hall/Space)、そして両者を結ぶルーティング。信号はディレイからリバーブへの一方通行で、リバーブは常に出力へ直行する。
- A〜D と Out の5つの送り先ボタンが、直列・並列・その両方を決める。同じディレイフェーダーが、配線によって「リバーブへの送り量」にも「出力への送り量」にもなる。
- フェーダー0は無音ではなく、公式は「0でも CLA のエフェクトは働く」と明記。Modulator は1ノブで depth と rate を同時に決め、ウェット側は内部でサンプルレートを落として処理される。



ディレイを1つ決めて、送り先を1つ点ける。そこまで来れば、あとは聴きながらリバーブを選ぶだけです。
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