この記事では、Waves CLA MixDown の4本のフェーダーが公式ユーザーガイドでどう定義されているかを、原文の記述に沿って整理します。Bass はローシェルフ、Treble は高域のベル——というところから始めて、なぜこのプラグインが「ミックスを始める前に挿して、そこを通してミックスしろ」と指示するのか、なぜ Pro Tools のマスターフェーダーに挿してはいけないと名指しで警告しているのか、そして入力レベルの合わせ方までを扱います。
CLA MixDown は Waves Artist Signature Series の一本で、ミキシングエンジニアの Chris Lord-Alge が長年使ってきたミックスチェーンを1枚に畳んだ製品です。公式ガイドの説明では、ミックスバスのインサートとして使うのが主眼ですが、楽器グループのバスを強化する用途にも使えます。同時に、マスタリング用プロセッサーと共通点は多いもののマスタリングを置き換えるものではないと自ら明記しています。同じ Artist Signature Series のうち、CLA シリーズ6本(Vocals・Guitars・Bass・Drums・Unplugged・Effects)の概要と使用場面は、入門側の記事 【Wavesプラグイン】「CLAシリーズ」の概要と使用場面、使い方を解説 にまとめてあります。
この製品の効き方を決めているのは、フェーダーの位置よりも先に「入力レベル」と「挿す位置」です。Input を上げればコンプもドライブも深くなる設計になっていて、そのためにメーターが3種類も載っています。逆に、挿す位置を間違えるとコンプの効きが演奏中に揺れます。この2点を外すと、フェーダーをどう動かしても安定しません。
範囲・仕様の記述はすべて公式ユーザーガイドの記載で、編集部の実測値ではありません。この資料には2つの版があり、この記事では版を書き分けています。①Waves が現在配布している版(全12ページ。PDF の作成日は2021年4月)。以下ではこれを「現行ガイド」と呼びます。②製品に同梱されている版(同じく全12ページ。作成日は2017年7月)。以下ではこれを「2017年版」と呼びます。本文の基準は現行ガイドです。ページ数が同じなので一見すると同じ資料ですが、中身は入れ替わっています。変わったのは次の4点です——(1) 冒頭が Welcome の定型文+「About CLA MixDown」に再構成された、(2) Input セクションに Link Input/Output ボタンが1項目増えた、(3) クイックスタートの手順4が1文に縮められ、Glue の目安と「2種類のコンプを比較して決める」という指示が落ちた、(4) 末尾に WaveSystem ツールバーの節が新設された。パラメーターの範囲・VU/メーターの範囲・コンポーネント構成は全項目で一致しています。2017年版にしかない記述は消さずに、「2017年版ガイドでは」と年を添えて残しました。編集部はこの製品を所有していないため、使用感・音の印象の描写はしません。
カホフェーダーは4本。でも音を決めているのは、その手前の Input と、どこに挿したかです。
この記事でわかること
- Bass/Treble/Glue/Drive の4プロセッサーが公式ガイドでどう定義されているか(フィルターの型まで)
- インサート位置がプリフェーダーでなければならない理由と、Pro Tools での具体的な禁止事項
- 公式が挙げる3つの入力メーターの読み方と、Sensitivity LED の色の意味(他の CLA 製品と違う点あり)/現行ガイドで増えた Link Input/Output ボタン
- 全パラメーターの範囲と、公式クイックスタートが示す操作の順序
CLA MixDownとは|何を解決する製品か
現行ガイド p.3 の「About CLA MixDown」は簡潔です。CLA MixDown はミックスを「まとめ(glue)」、生気を与える。ミックスバスに挿してそこを通してミックスするか、進行中のミックスに開いて奥行きとインパクトを足す。4本のフェーダーが、ミックスの色・ダイナミクス・ドライブを制御する——これが製品説明のすべてです。適性としては、ロックンロールとリズム・アンド・ブルースに理想的で、各種のポップスにも非常に効果的、と書かれています。
現行ガイド p.4 に収録された Chris 本人の言葉では、長年の無数のミックスを通じて完成させたミックスチェーンを、そのままプラグインの中に入れたものだとされています。挙げられている中身は3つ。ミックスをまとめるための2種類のバスコンプチェーン、ベースとトレブルの周波数を的確に押さえた仕上げの EQ、そしてアナログのミックスバスに信号を強く突っ込んだときの音のエミュレートで、そのアナログ・サチュレーションの量を自分で調整できる、という構成です。本人の締めくくりは「挿して、全部ゼロにして、全部オンにして、行け」。
コンポーネントは Mono と Stereo の2つ。モノコンポーネントはモノチャンネルにのみ、ステレオコンポーネントはステレオチャンネルにのみ挿せます。現行ガイド p.5 は「モノとステレオはチャンネル数以外は同一」と明記しています。
設計思想:なぜこの効き方をするのか
「通してミックスする」ことが前提になっている
現行ガイド p.3 は、ミックスを始める前にマスターバスへ挿して、そこを通してミックスすることを勧めています。理由も書かれていて、そうすることでプラグインから最大限を引き出す方向にミックスを仕立てられ、最良の音が得られるから、というものです。
これは順序の話ではなく、責任分界の話です。後からマスターに挿して「整える」道具ではなく、ミックスの判断そのものをこのプラグインの効きを前提に行え、と言っている。Chris の「全部ゼロにして、全部オンにして」という言葉と合わせると、ゼロの状態がすでに完成したチェーンであり、そこが出発点だという設計が見えてきます。
インサートはプリフェーダーでなければならない
公式クイックスタートは、バスマスターに挿してその出力をミックスマスターへ送る構成を推奨したうえで、はっきりした条件を付けています。インサートはプリフェーダーであること。プリフェーダーなら、フェーダーをどう動かしてもコンプレッションの効き方は変わりません。
そのうえで名指しの警告が続きます。Pro Tools を使っている場合、CLA MixDown をマスターフェーダーに挿してはいけない。このインサートはポストフェーダーであり、レベルが変わるとコンプレッションが不安定になるからです。他のバスに挿す場合も、そのインサートがプリフェーダーであることを確認するよう念を押しています。



入力レベルで効き方が変わる設計だから、フェーダーの後ろに置くと効きが動きます。マニュアルが DAW を名指しで警告するのは珍しいことです。
入力レベルが処理量そのものを決める
公式クイックスタートの3番目は「MixDown の Input レベルを上げる。コンプレッションとドライブが増えて聴こえるはずだ」です。つまり Input フェーダーはただの音量調整ではなく、コンプとサチュレーションの深さを決めるコントロールとして働きます。
だからメーターが3つ用意されています。現行ガイド p.4 が「入力信号が適正な範囲にあるかを知るのに役立つ3つの入力メーター」として挙げているのは次の3つです。
- Input Sensitivity LED——色を見る。黄であるべき
- VU メーター——曲のいちばん大きい箇所で 0dB を指すこと。例外的に大きなピークで +2dB や +3dB に達することはある
- デジタル・フルスケール・メーター——デジタルクリップが無いことの確認に使う。クリップはメーター上部の赤いインジケーターが示す
ここで、CLA 名義の他製品を触ったことがある人ほど引っかかる箇所があります。CLA MixDown の Sensitivity LED は緑=入力レベルが低すぎる、黄=最適、赤=高すぎ、という定義です(現行ガイド p.8)。一方、CLA Artist Collection 側では、消灯=低すぎ、緑=good、黄=optimal、赤=very hot と定義されています(現行の CLA Drums ガイド p.4・p.9/CLA Vocals ガイド p.4・p.8/CLA Guitars ガイド(いずれも2021年4月版)で同一の定義を確認)。緑の意味が違うので、緑を見て「まあ良いだろう」と判断すると、MixDown では入力が足りていません。狙うのは黄です。



同じメーカーの、同じ人の名前が付いた製品でも、LED の色の意味が違います。緑で安心しないでください。
もうひとつ、入力の過大レベル表示には独立した注記があります。Input over-level インジケーターが赤くなっていたら、Input LED が赤くなくても入力が高すぎる、というものです(現行ガイド p.9)。2つの表示が食い違ったときは、over-level 側を優先して読むことになります。
そしてこの直下に、現行ガイドで1項目だけ増えたコントロールが載っています。Link Input/Output ボタンです。現行ガイド p.9 の定義は「Input と Output のフェーダーを逆方向に動くよう結びつける。片方のフェーダーを上げると、もう片方が減衰する(逆も同じ)」。2017年版ガイドにはこの項目そのものがありません。ガイドが書いているのは、この「逆方向に連動する」という挙動だけで、何のために使うかは書かれていません。ただしクイックスタートの手順9が「パラメーターを動かしたら Input と Output のフェーダーで出力レベルを補償する」と指示しているので、その往復を1つの操作にまとめたもの、という位置づけは読み取れます。ここは公式の説明ではなく本稿の読みです。
Bass フェーダーはミックス全体のコンプ量に効く
クイックスタートの6番目は、単なる EQ の説明ではありません。現行ガイド p.5 はこう書いています——「Bass フェーダーを使ってミックス全体のコンプレッションを制御する。低域は波長が長くエネルギーも大きいので、コンプレッサーが閉じるのを妨げることがある。結果としてコンプレッションは深くなるが、ミックスを窒息させることもある」。
つまり、Bass のフェーダーはトーンの調整であると同時に、Glue の効き方を動かすコントロールでもある、という位置づけです。EQ とコンプが独立していない。この関係は公式ガイドが自分で説明している数少ない内部動作なので、そのまま引いておきます。ここに一般論を足すと、公式が書いていないことを書くことになるので踏み込みません。
Drive は極端な設定から始めろ、と公式が指示している
Drive はハーモニック・ディストーションを制御するコントロールで、現行ガイド p.5 の表現では「SSL のミックスバスを攻撃的に叩いたときのような音」です。高い設定ではざらつき(grit)とドライブが増し、低い設定ではダイナミクスが開く方向になります。
そして操作の指示が独特です。効果を本当に聴き取るために、極端な設定から始めること。少しずつ上げていく、ではありません。ただし公式が書いているのはここまでで、そこからどこまで戻すべきかは指定されていません。示されているのは方向だけです。
全パラメーター
現行ガイド(2021年版)の「Controls and Indicators」(p.8〜12)に記載された範囲です。中央のプロセッサーは4つで、それぞれに独立したオン/オフスイッチが付いています。数値は2017年版と全項目が一致していますが、Link Input/Output ボタンだけは現行ガイドで増えた項目なので、その旨を表に明記しました。
| コントロール | 範囲 | 役割 |
|---|---|---|
| Input フェーダー | −12 〜 +12 | 入力レベル。上げるとコンプレッションとドライブが増える |
| Sensitivity LED | 緑/黄/赤 | 緑=入力が低すぎる、黄=最適、赤=高すぎ。Input フェーダーで色を合わせる |
| Input メーター | −24dBFS 〜 0dBFS | 入力ピーク表示 |
| Input over-level インジケーター | — | 0dBFS超で赤。Input LED が赤でなくても、これが赤なら入力過大。クリックでオーバー表示を解除 |
| Link Input/Output ボタン (現行ガイドで追加) | — | Input と Output のフェーダーを逆方向に連動させる。片方を上げるともう片方が減衰する(逆も同じ)。2017年版ガイドには項目そのものが無い |
| Bass | −10 〜 +10(スイッチ Off/On) | ローシェルフフィルターの量を制御し、ミックスに暖かさを加える |
| Treble | −10 〜 +10(スイッチ Off/On) | 高域のベルEQ バンドを制御。きらめきと明瞭さを加えられる |
| Glue | −10 〜 +10(スイッチ Off/On) | 信号に掛かるコンプレッションの量。高い設定はミックスを引き締めるが透明感は減り、低い設定はミックスの一部に空間を残す |
| Drive | −10 〜 +10(スイッチ Off/On) | 付加するハーモニック・ディストーションの量。SSL のミックスバスへ非常に高いレベルの信号を送ったときに似た効果 |
| VU メーター(2本) | −20dB 〜 +3dB(IN と OUT) | モードは IN(入力)/OUT(出力)/GR(ゲインリダクション)の3つ。ステレオ版は L・R、モノ版は M が2本。キャリブレーションねじでデジタル基準レベルに合わせられる |
| Output フェーダー | −12dB 〜 +12dB | プラグイン出力の調整 |
| Output メーター | −24dBFS 〜 0dBFS | 出力ピーク表示 |
| Output over-level インジケーター | — | 0dBFS超で赤。クリックでオーバー表示を解除 |
表記の細部にも目を留めておきます。6本のフェーダーのうち、範囲に dB が付いているのは Output だけです(「Range -12 dB to +12 dB」・現行ガイド p.12)。Input フェーダーは「Range -12 to +12」(p.8)、4本のプロセッサーフェーダーも −10〜+10(p.10)で、いずれも単位がありません。この表記の非対称は2017年版から現行ガイドまで直っていません。ここでは単位を補わず、公式表記のまま載せています。
もうひとつ重要なのが Glue のコンプです。現行ガイド p.10 はコンプレッサーが2種類あるとしか書いておらず、それぞれの説明は「モダンでパンチのあるコンプレッサー」「時定数の長いコンプレッサー。ミックスをまとめておくのに向く」の2行だけです。同じ現行ガイド p.9 の Processor Controls の図を見ると Glue のオンボタンの隣に 1/2 の小さなスイッチがありますが、どちらの番号がどちらの性格に対応するかは本文に書かれていません。2つのコンプに名前も付けられていません。ここは2017年版から変わっていない箇所です。
用途別・設定の始点
公式クイックスタートは9段階の手順として書かれています。段階の数は2017年版と現行ガイドで同じ9段階ですが、手順4の中身だけが現行ガイドで縮んでいます。現行ガイド p.4 の手順4は「VU メーターを GR(ゲインリダクション)表示に切り替える」の1文で終わり、2017年版にあった Glue の目安と「2種類のコンプを比較して決める」という指示がありません。したがって、現行ガイドで数値の目安が明示されているのは入力レベルだけです。以下の表では、2017年版にしかない部分に版名を付けました。
| 段階 | ガイドの指示(版の違いがある行は版名を明記) | 数値の目安 |
|---|---|---|
| 1〜2. 挿してつなぐ | バスマスターに挿し、出力をミックスマスターへ。インサートはプリフェーダー | Pro Tools のマスターフェーダーは不可(ポストフェーダーのため) |
| 3. 入力を合わせる | Input を上げる。コンプとドライブが増えるのが聴こえる | Sensitivity LED は黄/VU は最大音量部で 0dB(例外的なピークで +2〜+3dB)/フルスケールメーターでクリップ無し |
| 4. Glue | 現行ガイド:「VU メーターを GR(ゲインリダクション)表示に切り替える」——ここまで 2017年版:これに続けて「Glue で最大3dB のゲインリダクションを得るところから始める。Glue はコンプレッションの量を調整し、最終ミックスの“締まり”に効く。上げるほどミックスのダイナミクスは減る。CLA のコンプは2種類ある。両方を比較して、このミックスにどちらが合うか決める」 | 最大3dB のゲインリダクションを出発点に(2017年版ガイドの記載。現行ガイドにこの数値は無い) |
| 5. Drive | まず極端な設定から始めて効果を掴む | 高い=ざらつきとドライブが増す/低い=ダイナミクスが開く |
| 6. Bass | ミックス全体のコンプレッション量を制御する目的で使う | 公式の注意:深くなるが、ミックスを窒息させることがある |
| 7. Treble | 高域のプレゼンスを増減する | 数値の指定なし |
| 8. 検証 | A/B モニタリング比較を習慣にする。各処理セクションを個別にオン/オフし、プラグイン全体もバイパスする | — |
| 9. レベル補償 | パラメーターを動かしたら Input と Output のフェーダーで出力レベルを補償する | — |
Glue の「最大3dB」は、2017年版ガイドが示していた数少ない具体値でした。現行ガイド(2021年版)ではこの一文ごと削除されていて、全文を検索しても「3 dB」は VU メーターの範囲(−20dB〜+3dB)と入力ピークの「+2dB や +3dB」にしか出てきません。いま公式が出発点として数値を示しているわけではない、という前提で使ってください。手順としては、GR を読むために VU メーターのモードを GR に切り替える必要があるので、「モードを GR にする → Glue を上げる」の順になります。これは現行ガイドの手順4がそのまま指示している範囲です。なお「Glue を上げるほどミックスのダイナミクスが減る」という説明も、現行ガイドのクイックスタートからは消えています——ただし Glue のコントロール解説(現行ガイド p.10)に「高い設定はミックスを締めるが透明感は減る」という同趣旨の記述が残っているので、方向の話は現行でも成り立ちます。
似た製品との使い分け
CLA 名義の他製品との守備範囲
同じ Chris Lord-Alge 名義でも、挿す場所がはっきり分かれています。CLA Artist Collection の6製品は、各製品のユーザーガイドのクイックスタートを見ると、CLA Vocals=ボーカルトラック、CLA Drums=ドラムトラック、CLA Bass=ベーストラック、CLA Guitars=ギタートラック、CLA Unplugged と CLA Effects=エフェクトリターン(AUX バス)と指定されています(Vocals・Drums・Guitars は2021年版、Bass・Unplugged・Effects は同梱の2010年版で確認。Vocals と Drums については2つの版を突き合わせてあり、この行は変わっていません)。いずれもトラックまたはリターンに挿す製品です。
CLA MixDown はミックスバス(および楽器グループのバス)が持ち場で、CLA Guitars のユーザーガイド(2021年版)が列挙する CLA Artist Collection の6製品には含まれていません。MixDown 自身の現行ガイド p.3 は、この製品を「Waves Artist Signature Series の一員」と紹介しています。
マスタリング用プロセッサーとの違い
これは現行ガイド p.3 が自分で線を引いています。CLA MixDown はマスタリング用プロセッサーと共通点が多いが、マスタリングを置き換える意図はない。ミックスバスに挿して、ミックスの段階で使う道具です。マスタリング段でどうするかは別の判断になります。
単体のバスコンプとの違い
Glue には、レシオ・スレッショルド・アタック・リリースを直接触るコントロールがありません。用意されているのは量(−10〜+10)と、2種類のコンプのどちらを使うかの選択だけです。時定数を自分で決めたい、特定機種の効き方を狙いたい、という場面は単体コンプの領域になります。当サイトでは api-2500 や H-Comp を個別に扱っており、判断の前提になる考え方は コンプの基礎 にまとめてあります。
よくある質問
マスターフェーダーに挿してはいけない?
現行ガイド p.4 の手順1が名指しで禁じているのは Pro Tools のマスターフェーダーです。そのインサートがポストフェーダーであり、レベル変化に応じてコンプレッションが一貫しなくなるから、というのが理由です。推奨されているのはバスマスターに挿してミックスマスターへ送る構成で、他のバスに挿す場合も、そのインサートがプリフェーダーであることを確認するよう書かれています。
どのくらい潰せばいい?
ここは版で答えが変わります。2017年版ガイドのクイックスタート手順4は、始めるにあたって Glue で最大3dB のゲインリダクションを得ることを示していました。現行ガイド(2021年版)の手順4は「VU メーターを GR 表示に切り替える」の1文だけで、数値の目安がありません。どちらの版で読むにせよ、GR を読むには VU メーターを GR モードにする必要があります。それ以上をどうするかの指定は両版とも無く、方向としては「高い設定はミックスを締めるが透明感は減る」(現行ガイド p.10)と書かれているだけです。
2種類のコンプはどちらを選べばいい?
現行ガイド p.10 の記述は「モダンでパンチのあるコンプレッサー」と「時定数が長く、ミックスをまとめておくのに向くコンプレッサー」の2種類がある、というところまでです。どちらの番号がどちらかも、どんな素材にどちらが向くかも書かれていません。「両方を比較して、このミックスにどちらが合うか決める」という指示は、2017年版ガイドのクイックスタート手順4にあったもので、現行ガイドでは削除されています。コンプが2種類あるという事実は現行ガイドにも残っているので、比較して選ぶこと自体は変わらず有効ですが、公式の手順として引くなら版を添える必要があります。
Sensitivity LED が緑なら大丈夫?
CLA MixDown では違います。現行ガイド p.8 の定義は緑=入力レベルが低すぎる、黄=最適、赤=高すぎ。狙うのは黄です。CLA Guitars・CLA Drums・CLA Vocals など CLA Artist Collection 側の公式ガイド(2021年4月版)では緑が「good」と定義されているため、そちらの感覚を持ち込むと入力不足のまま進むことになります。
まとめ
- Bass(ローシェルフ)・Treble(高域ベル)・Glue(コンプ2種)・Drive(ハーモニックディストーション)の4プロセッサー構成で、各々に独立したオン/オフがある。範囲はすべて −10〜+10。
- 挿す位置はプリフェーダーが条件で、Pro Tools のマスターフェーダーは公式が名指しで禁じている。Input を上げるとコンプとドライブが深くなるため、レベル合わせが音づくりそのものになる。
- 現行ガイドのクイックスタートが数値で示している到達目標は、Sensitivity LED は黄、VU は最大音量部で 0dB(例外的なピークで +2〜+3dB)——ここまで。「Glue で最大3dB のゲインリダクション」は2017年版ガイドにあった目安で、現行ガイドでは削除されている。Drive は極端な設定から始めろ、というのは両版に共通の手順。



全部ゼロにして、全部オンにして、そこから入力を上げる。公式が書いている出発点は、それだけです。
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