Waves CLA-3AのGainとPeak Reductionは、0〜100ではなく0〜10です。HiFreqのFlatは0ではなく100の側。そして Gain/Peak Reduction/HiFreq/Analog の4つは、立ち上げた直後の値がリセット値と一致しません。この記事では、CLA-3Aが何をどう決めているのかを、2025年4月改訂の現行ユーザーガイド(英語・全10ページ)の数値を基準に組み立て直します。
想定読者は、すでにCLA-3Aを挿したことがある人と、光学式コンプレッサーを1本選ぼうとしている人です。操作手順ではなく、範囲・初期値・資料の食い違いという「根拠の側」を扱います。なお、同じ Chris Lord-Alge の名を冠する製品群の入り口として、Signature 系の CLA シリーズ6本(Vocals・Guitars・Bass・Drums・Unplugged・Effects)の概要と使用場面をまとめた入門側の記事 【Wavesプラグイン】「CLAシリーズ」の概要と使用場面、使い方を解説 があります。
参照した一次資料は、Waves公式のCLA-3A単体ユーザーガイド(英語)の2つの版——公式製品ページが現在リンクしている2025年4月改訂版と、それ以前の2022年版(製品に同梱されているファイルと同一)——に、バンドル付属のCLA Classic Compressors日本語版マニュアルと公式製品ページを加えたものです。本文で「現行ガイド」と書いたときは2025年版を指します。編集部は本製品を所有していないため使用感の描写はせず、裏が取れない項目は書きません。
カホつまみが少ない機材ほど、資料の読み違いがそのまま音の違いになります。CLA-3Aは、公式ガイドが版で書き換わり、しかも同じ冊子の中で数字が食い違っている機種です。
この記事でわかること
- 9つあるコントロールの範囲・初期値・リセット値(初期値とリセット値が別物である理由と、値が公表されていないコントロール)
- HiFreqの効き方の説明が2022年版の英語ガイドと日本語版で逆向きだったこと、2025年版でどちらに揃ったか
- Attack/Releaseのつまみが無い理由と、リリースが数秒に及ぶ仕組み
- モデリング元について、公式資料が何を書き、何を書いていないか
CLA-3Aとは|何を解決する製品か
公式マニュアルの製品概要は、CLA-3Aを「1969年に登場した著名なソリッドステート・コンプレッサーをモデリングしたもの」と説明しています。真空管ベースの前モデルと同じく、シンプルなコントロール群、ゲインリダクションを担うT4光学アッテネーター、そしてプログラム依存型のコンプレッション特性を備えていた機種だ、と続きます。Chris Lord-Algeが数あるビンテージコンプレッサーの中でも特に気に入っている、とも書かれています。
ここで一点、資料が揃っていない箇所があります。年代の表記です。マニュアルは「1969年」と書きますが、日本語の公式製品ページは「70年代初期のソリッドステートユニット」をベースにしたと書いています。どちらもWaves公式ですが、表現が一致していません。この記事では、どちらか一方を正解として断定しません。
さらに踏み込むと、CLA-3Aのマニュアルはモデリング元の機種名もメーカー名も書いていません。「1969年に登場した著名なソリッドステート機」という書き方に留めています。同じ日本語版マニュアルに収録されているCLA-2Aの項が「元々Teletronixによって製品化された」と名指しし、英語版CLA-2Aマニュアルに至っては本文中で「LA-2A」という型番を出しているのと対照的です。CLA-3Aについては、公式資料の側が機種名を明示していない、というのが確認できる事実です。
日本語の公式製品ページが機能として挙げているのは、Compressor/Limiterモード、ゼロレイテンシー、Sidechain周波数フィルター、Mono/Stereoコンポーネント。用途としては「ベース、ギター、ボーカルに豊かな彩りを加える」と書かれています。ボーカル専用機のように紹介されることがありますが、公式の書き方はもっと広く取ってあります。
コンポーネントは2つ。CLA-3A Stereoは両方のチャンネルパスに1つの検出器を使う2チャンネル・コンプレッサーで、CLA-3A Monoは1チャンネル版です。
価格は定価26,180円です(2026年8月時点)。本稿が価格を確認したのは1時点だけなので、実売の相場は書きません。現在の価格は公式ページで確認してください。
設計思想:なぜこの効き方をするのか
基準は −18 dBFS = +4 dBu
Wavesはこのハードウェアを、リファレンスレベル −18 dBFS = +4 dBu でモデリングしたと明記しています。つまりDAWから −18 dBFS の信号を送ると、メーターは 0 VU(+4 dBu)を指します。メーターの0がどこを指すかが決まっているので、入力レベルの話とメーターの話を別々に考える必要がありません。
マニュアルはこのほかに、モデリングで再現したアナログ的な要素として、全高調波歪み(THD)、可変リリースタイム、ハム、そしてT4を挙げています。THDは基本周波数に奇数・偶数の倍音を加えて音色バランスを変えるもので、出力ゲインのピークにも影響しますが、その幅は ±0.2〜0.3 dB程度とされています。
時定数のつまみが無いのは、T4が決めているから
CLA-3Aには時定数を設定するコントロールがありません。現行ガイド巻末のコントロール一覧に載っているのは、Gain/Peak Reduction/HiFreq/Compressor Mode/Analog/VU Display/Mix/Trimの8つ(本文にはこれにAuto Makeupが加わりますが、巻末一覧のほうは2022年版と同じ8行のまま更新されていません)。この中にAttackもReleaseもRatioも含まれていません。
理由はマニュアルに書かれています。モデリング元のハードウェアでは、T4光学デバイスがコンプレッション動作を決めている。強い信号が入力されると、リリースの時定数が数秒に及ぶ場合がある。そのためリリースがユニティ位置に戻る前に次の信号が来ると、同じパッセージでも再生するたびにわずかに違って聞こえることがある。マニュアルはこれを「オリジナルの動作をそのまま再現した結果であり、不具合として捉えるべきものではない」と明言しています。
裏を返せば、掛かり方が完全には一定にならない機種だということです。時定数を狙って決めたい仕事には向きません。
「実機より強く掛かる」の正体はT4の消耗
T4についてのマニュアルの記述は、プラグインの説明としてはかなり踏み込んでいます。T4は摩耗・損傷しやすい部品で、理想的には2〜3年ごとの交換が必要。消耗したT4は、新しい部品と比べて最大80%もコンプレッション効果が落ちる。そしてWavesの調査によれば、今日でも使われているT4コンポーネントの最大90%が一度も交換されていない、と書かれています。
結論として、マニュアルはこう続けます。オリジナルユニットのふるまいに慣れている人が、プラグインのほうが強く掛かると感じたなら、それは摩耗したT4に慣れ親しんでいたからかもしれない、と。



「モデリングは実機に及ばない」の反対側です。比較対象の実機のほうが、規定の性能から外れていた。メーカー自身がそう書いています。
CompとLimiterは、およそ3:1とおよそ100:1
レシオのつまみはありませんが、比率そのものは公式に示されています。クイックスタートガイドは、Compressor/Limiterトグルについて「コンプレッサー(およそ3:1のレシオ)またはリミッター(およそ100:1のレシオ)」と書いています。英語版・日本語版とも同じ数字です。初期値はComp。
2択なので、この機種で「レシオを詰める」という作業は存在しません。掛ける量はPeak Reduction、掛かり方の性格はモード、という分担になります。
初期値とリセット値は、意図して別の値になっている
CLA-3Aのマニュアルは、ほとんどのコントロールについて「初期値(Initial Value)」と「リセット値(Reset Value)」を別々に記載しています。ここが読みどころです。
- Gain:初期値 5.50 / リセット値 4.08(ユニティゲイン)
- Peak Reduction:初期値 4.00 / リセット値 0
- HiFreq:初期値 50.00 / リセット値 100(Flat)
- Analog:初期値 60Hz / リセット値 Off
リセット値の並びは、ゲインがユニティ、圧縮量が0、検出フィルターがFlat、アナログ挙動がOff。対して初期値は、そのすべてが別の位置にあります。挿した直後の状態は、リセットした状態とは違うということです。A/B比較をするときにどちらを基準に置いているかは、意識しておいたほうがいい差です。
Peak Reductionには、もうひとつ注意書きが付いています。スケールはリニアではなく、モデリング元のスケーリングに忠実に合わせてある。したがってアナログ機器と同じく、あるステップでは想像以上に強い圧縮が掛かる場合がある——マニュアルの原文がそう書いています。数字の見た目と掛かり方は比例しません。
Gainの定義は、2025年版で「メイクアップゲイン」に直った
細かい話ですが、実害が出やすいので書いておきます。本稿が比較のために参照した2022年版の英語ガイドは、コントロール解説のGainの見出しに「Gain controls the gain reduction.」(Gainはゲインリダクションをコントロールする)と書いていました。しかも同じページに2回。
2025年4月の改訂で、この行は「Gain controls the makeup gain.」(Gainはメイクアップゲインをコントロールする)に書き換わり、重複していたもう1行も消えました。クイックスタートガイドは両方の版とも「コンプレッション後のメイクアップレベルを調整するのにGainを使う」で、日本語版マニュアルも「Gainは出力レベルをコントロールします」。2022年版で1箇所だけ残っていた「圧縮量側」の記述が、現行版では無くなったことになります。
ラベルの側も版で変わりました。2022年版のインターフェイス解説図は、このつまみに「Makeup Gain」という引き出し線を付けていました。現行版は引き出し線つきの注釈そのものが廃止され、素の画面写真だけになっています。
役割分担は、圧縮量=Peak Reduction/音量=Gain。Gainを回して圧縮を稼ぐつまみではありません。
Auto Makeupは2025年版で増えたコントロール
現行ガイドには、2022年版に無かったコントロールがひとつ増えています。Auto Makeupです。誌面6ページの画面写真でも、COMP/LIMITERトグルの右隣に「AUTO MAKEUP」という小さなボタンが写っています。2022年版の同じ図にはありません。
働きは「Peak ReductionとGainを自動で釣り合わせる」こと。Auto Makeupがオフのときは、Peak Reductionを上げる=ゲインを削るということなので、そのぶんGainを持ち上げて補う必要があります。オンにすると、Peak Reductionを上げればGainも上がり、下げればGainも下がる。ゲインリダクションが変わっても出力がだいたい一定に保たれる、という仕掛けです。
現行ガイドは、使うときの注意を3点挙げています。
- Peak ReductionのつまみはGainを動かせるが、逆向きには効かない。先に釣り合いを取り、最後にGainだけ微調整する使い方を想定している
- Gainの動きはPeak Reductionに対してリニアではない。Peak Reductionが低いうちは信号が削られていないのでメイクアップも不要で、コンプレッサーが効き始めるところからGainが動き出す
- 2つのつまみのオフセットを取り直したいときは、いったんAuto Makeupをオフにして相対値を変え、それからオンに戻す
ただし現行ガイドは、このコントロールについて範囲も初期値もリセット値も書いていません。巻末の一覧表もAuto Makeupの行を欠いたまま8行で、2022年版と同じです。したがってこの記事では、挿した直後にオンなのかオフなのかを断定しません。誌面の画面写真は「A: Start Me Up」というプリセットを読み込んだ状態が写っているだけで、初期値の証拠にはならないからです。
なお現行ガイドのこの節は、本文中で「In the original CLA 2A(オリジナルのCLA 2Aでは)」と書き、注意書きの見出しも「Auto-Gain」という別の呼び名になっています。CLA-2Aの現行ガイドにもほぼ同じ文章が載っており、CLA-3A側の文面はそこと共通です。
HiFreqは検出回路のフィルター。効く向きは2025年版で日本語版と揃った
まず、どの資料も一致している部分から。HiFreqは、1 kHzより上の周波数について、ピークリダクション回路にある電圧増幅器(ボルテージアンプ)のゲインを増やすコントロールです。1 kHz以下の帯域には影響しません。Flatに設定すると、全周波数へ等しくリダクションを行います。範囲は0〜100(0.1単位)、初期値50.00、リセット値100がFlatです。
Flatが100、つまり端に置かれているので、「Flatから離す」は数字を下げる方向になります。2022年版のインターフェイス図ではこのつまみが「Sidechain HF Filter」とラベルされており、日本語版の図でも「サイドチェイン・フィルター」。日本語の公式製品ページの機能リストにも「Sidechain周波数フィルター」とあります。出音のEQではなく、検出回路に何を聴かせるかを変えるつまみだという点は、どの資料も揃って示しています(現行版は引き出し線が廃止されたため、図の中にラベルはありません)。
問題はその先です。2022年版の英語ガイドは「Flatの位置から離れるほど、コンプレッサーは高域に対して敏感になり、より重い圧縮になる」と書いていました。ところが日本語版マニュアルのCLA-3Aの項は「Flat位置から離れるほどコンプレッサーの低域への感度が下がり、結果としてコンプレッション量は少なくなります」。前者は圧縮量が増える、後者は減ると読めます。まったく逆向きです。
2025年4月の改訂で、英語版のこの一文は日本語版と同じ側に書き換わりました。現行ガイド8ページの原文は「The more you move away from the Flat position, the less sensitive the compressor is to lower frequencies, resulting in less compression.」——Flatから離れるほど低域への感度が下がり、圧縮量は少なくなる。2022年版の「高域に敏感になり、より重い圧縮になる」という文は、現行版には存在しません。
補足しておくと、日本語版のこの一文は、同じマニュアルのCLA-2Aの項とまったく同じ文面です。そして英語版CLA-2Aマニュアルの記述も、もともと「低域への感度が下がり、圧縮量は少なくなる」側でした。つまり2025年の改訂は、CLA-3Aの説明をCLA-2A側に揃えたことになります。なお日本語版のCLA-3Aの項には、モデリング解説の中に「Wavesは入念にハードウェア特性のモデリングを行い、CLA-2Aへとまとめあげました」という一文がそのまま残っています(同じ文はCLA-76の項にもあります)。
したがって、この記事はHiFreqを「Flatから離すほど、全体の圧縮量は減る」側で書きます。あわせて押さえておきたいのは、1 kHzを境に検出感度の比率が変わること、ディエッサーに近い使い方ができること、そして圧縮量そのものも一緒に動くことです。触ったらVU DisplayをGRにして、実際のリダクション量を見てください。



同じ製品でも、公式ガイドは黙って書き換わります。手元のPDFの日付と、製品ページが今リンクしているPDFが同じものかどうかは、確かめる価値があります。
MixとTrim——資料によって載っていない
Mixは圧縮音と原音のバランスで、範囲0〜100%(0.1%単位)、初期値100%。プラグイン内でパラレルコンプレッションが完結します。Trimは出力レベルで、範囲 −18〜+18 dB(0.1 dB単位)、初期値0。現行ガイドはTrimを「Mixの後段でプラグインの出力レベルを決める」と書いており(2022年版にこの但し書きはありません)、Gainがメイクアップ、Trimが最終調整という二段構えです。
ただしこの2つは、記載のある資料と無い資料があります。英語版CLA-3A単体ユーザーガイドには2025年版・2022年版とも本文にも巻末一覧にも載っていますが、バンドル付属の日本語版CLA Classic Compressorsマニュアルには、本文にも巻末一覧にもインターフェイス図にも出てきません。日本語の公式製品ページの機能リストにも挙がっていません。画面と資料が食い違ったときは、まずプラグインのバージョンを確認してください。
全パラメーター
| コントロール | 役割 | 範囲 | 初期値/リセット値 |
|---|---|---|---|
| Peak Reduction | 圧縮量(スケールは非リニア) | 0〜10(0.01単位) | 4.00 / 0 |
| Gain | メイクアップゲイン(出力) | 0〜10(0.01単位) | 5.50 / 4.08(ユニティ) |
| Auto Makeup | Peak ReductionとGainを自動で連動させる(2025年版で新設) | 現行ガイドに記載なし | 現行ガイドに記載なし |
| Compressor Mode | 圧縮/リミッティングの切り替え | Comp(およそ3:1)/Limiter(およそ100:1) | Comp |
| HiFreq | 検出回路の1 kHz以上への感度(Flatは100) | 0〜100(0.1単位) | 50.00 / 100(Flat) |
| Analog | 電源由来のノイズフロアとハムの再現 | Off/50Hz/60Hz | 60Hz / Off |
| Mix | 圧縮音と原音のバランス | 0〜100%(0.1%単位) | 100% |
| Trim | 出力レベル | −18 〜 +18 dB(0.1 dB単位) | 0 |
| VU Display | メーター表示の切り替え | In/GR/Out | GR |
GainとPeak Reductionの範囲について、資料に不一致があります。英語版ガイドは2025年版・2022年版とも、本文・巻末一覧のいずれも「0〜10」。日本語版マニュアルも本文は「0から10」ですが、同じ日本語版の巻末一覧だけが「0-100」になっています。本文と初期値(5.50/4.00)の整合から、この表では0〜10を採りました。
Peak Reductionには、現行ガイド1冊の中だけで完結する食い違いがもうひとつあります。本文(7ページ)は「範囲 0〜10(0.04単位)/初期値 46.00」と書いていますが、同じ冊子の巻末一覧(10ページ)は「0〜10(0.01単位)/初期値 4.00」。0〜10のスケールに46.00という値は載りません。この0.04単位と46.00は、CLA-2Aの英語版ガイド本文に書かれている値と同じ数字です(CLA-2Aは0〜100スケール)。2022年版の英語ガイドも日本語版マニュアルも「0.01単位/初期値4.00」なので、この表はそちらを採っています。
用途別・設定の始点
| やりたいこと | 触るコントロール | 起点と注意 |
|---|---|---|
| 圧縮量を決める | Peak Reduction | 初期値4.00。非リニアなので少しずつ |
| 音量を戻す | Gain | ユニティは4.08。圧縮量は変わらない |
| 圧縮量を変えても音量を保つ | Auto Makeup | Peak Reductionを上げるとGainが追従する。逆向きには効かない |
| 頭を止める | Compressor Mode=Limiter | およそ100:1。Compはおよそ3:1 |
| サ行・高域の反応を変える | HiFreqをFlat(100)から下げる | 初期値50。低域への感度が下がるぶん、全体の圧縮量は減る |
| 原音を残す(パラレル) | Mixを下げる | 初期値100%(記載のある資料のみ) |
| ノイズ・ハムを避ける | Analog=Off | 初期値は60Hz。50Hzとはハム量が違う |
| 掛かり具合を見る | VU Display=GR | 初期値がGR。InとOutにも切替可 |
目標ゲインリダクション量や、楽器別・ジャンル別の推奨値は書きません。CLA-3Aのマニュアルに記載が無いからです。参考として、同じ日本語版マニュアルのCLA-2Aの項には「LA-2Aのもっとも一般的なPeak Reductionのレンジは30〜50」という記述がありますが、これはCLA-2Aについての記述であって、スケールの違うCLA-3Aにそのまま持ち込める数字ではありません。
似た製品との使い分け
同じCLA Classic Compressorsに収録されているCLA-2Aは、1960年代初頭にTeletronixが製品化した、ハンドワイヤード(手配線)の真空管ベースのコンプレッサーのモデリングです。コントロールの構成はCLA-3Aとほぼ同じですが、スケールが違います。CLA-2AのGainとPeak Reductionは0〜100(英語版マニュアルの本文では0.04単位)で、Gainのユニティは32.28、Peak Reductionの初期値は46.00。CLA-3Aの0〜10とは桁が違うので、数字の記憶をそのまま流用できません。
CLA-76は方式が別で、FET(フィールドエフェクト・トランジスタ)をゲインコントローラーに使ったソリッドステート・コンプレッサー/リミッターのモデリングです。こちらにはRatio、Attack、Releaseのコントロールがあり、AttackとReleaseの設定範囲は slowest(1)から fastest(7)。時定数を自分で決めたいならCLA-76、素材まかせでよいなら光学式の2機種、という分け方になります。
なおCLA-76のマニュアルによると、オリジナル機はおよそ8,000台が生産され、生産期間を通じて最低13のリビジョンがあったとされます。Wavesがモデリングしたのは Revision B(Silverface Bluestripe)と Revision D-LN(Blackface)の2つで、前者はChris Lord-Alge本人が愛用する個体です。
よくある質問
アタックやリリースを調整できますか
マニュアル巻末のコントロール一覧に、時定数を設定する項目はありません。時定数はT4光学デバイス側が決めており、強い信号では数秒に及ぶこともあると明記されています。自分で決めたい場合は、Attack/Releaseを持つ機種を選ぶことになります。
Analogは倍音を足すつまみですか
違います。マニュアルの定義は「オリジナルユニットの電源供給に基づく、ノイズフロアとハムノイズから生じるアナログ特性の再現」。選択肢はOff/50Hz/60Hzの3つで、量を連続で変えるつまみではありません。50Hzと60Hzではハムのレベルが違うとされ、不要ならOffにできます。
モデリング元は何という機種ですか
公式マニュアルにも公式製品ページにも、機種名は書かれていません。書かれているのは「1969年に登場した著名なソリッドステート機」(マニュアル)と「70年代初期のソリッドステートユニット」(日本語製品ページ)という説明で、年代の表現も一致していません。CLA-2Aについては公式が型番まで書いているのに、CLA-3Aについては書いていない、という状態です。
ステレオトラックで使えますか
使えます。CLA-3A Stereoは、両方のチャンネルパスに1つの検出器を使う2チャンネル・コンプレッサーです。1チャンネルのCLA-3A Monoも別コンポーネントとして用意されています。
まとめ
- 圧縮量はPeak Reduction(0〜10・非リニア)、音量はGain(ユニティ4.08)。初期値とリセット値は別物
- HiFreqは出音のEQではなくサイドチェインのフィルター。Flatは100の側で、そこから離すほど低域への感度が下がり圧縮量は減る(2022年版の英語ガイドだけが逆向きに書いていた)
- 2025年版でAuto Makeupが加わった。範囲・初期値・リセット値は現行ガイドに書かれておらず、巻末一覧にも行が無い
- 時定数のつまみは無く、リリースは数秒に及ぶことがある。同じ設定でも掛かり方は完全には一定にならない



触るのはPeak ReductionとHiFreqの2つ。あとは資料の数字を信じるより、GR表示を信じたほうが早い機種です。






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